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Wednesday, August 3, 2022

中層木造ビル9月に完成 宇都宮 第一生命と東邦銀行 - 産経ニュース

栃木県産スギの香りが漂う中層木造ビル「(仮称)東邦銀行・第一生命共同ビル」の内部=宇都宮市泉町(鈴木正行撮影)

第一生命栃木支社と東邦銀行宇都宮支店が入居する中層木造ビル「(仮称)東邦銀行・第一生命共同ビル」が9月末、宇都宮市泉町の大通り沿いに完成する。同ビルは木造と鉄筋コンクリート造のハイブリッド構造で、両社にゆかりのある栃木県産のスギ、福島県産のカラマツをふんだんに活用。福島県内のメーカー、工場で木材加工をするなど、地域創生・活性化に取り組んだのが特徴だ。

設計・施工を担当した清水建設によると、同ビルは地上4階建て、延べ床面積約2500平方メートル。木を通じて街を歩く人に癒しを与えようと、大通りに面した部分を木造で、もう一方をコンクリート造にした。

農林水産省がまとめた令和2年度の木材生産産出額で、栃木県は9位、東邦銀行の本店がある福島県は8位。この特色を生かし、地産木材が積極的に使用されている。

今回の中高層木造ビルの建築を巡っては、建築基準法に定められた耐火性と耐震性をクリアしなければならなかった。清水建設は自ら開発し、国土交通相の耐火認定を受けた木質柱「スリム耐火ウッド」と、木目の向きを90度ずつ変えて木板を貼り合わせることで強度と耐久性を高めた「CLT」(直交集成板)で、これらの課題を克服した。

強度と耐久性を高めた木質系材料「CLT」

スリム耐火ウッドは柱や梁に採用され、芯材に福島県産のカラマツ、仕上げ材に栃木県産のスギを活用した。これらの材料は福島県内の工場で製造し、同県内の職人が施工した。

またCLTは欧米でさまざまな建築物に利用されており、日本でも平成28年に建築基準法で認められ、普及しつつある。清水建設は栃木県産のスギを使って、厚さ12ミリの板を3枚貼り合わせ、内装材や天井面に採用した。

全国各地で、木材を中高層建築で利用するケースが増えているのは、木材は輸送や加工などの工程でCO2(二酸化炭素)の発生が少なく、コンクリートや鉄筋を使う場合と比べてCO2の削減につながるからだ。

林野庁のホームページによると、木材は「森林が吸収した炭素を貯蔵している」という考えから、建築などでの利用を通じて地球温暖化防止への貢献が期待されている。同庁は令和3年10月、「建築物に利用した木材の炭素貯蔵量を分かりやすく表示するためのガイドライン」を定めた。

東邦銀行・第一生命共同ビルでは、270立方メートルの木材が使用され、炭素貯蔵量としては177トンの効果があるという。このほか、屋上には10キロワットの太陽光パネルを設置して再生可能エネルギーを積極的に利用する。

清水建設は、これらの取り組みにより、持続可能な開発目標(SDGs)における17の目標のうち、「産業と技術革新の基盤をつくろう」「気候変動に具体的な対策を」など8つの目標への貢献を目指している。(鈴木正行)

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