★メディアでは、コロナ禍1年を検証する企画が相次ぐ。豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号の船内感染から始まり、さまざまなことが日本中で起こり、すべての国民に何らかの影響があり、混乱と迷惑の連続だった。そしてまだそれは道半ばだということになる。世界70カ国以上で接種が始まっているにもかかわらず、先進国で唯一といえるほどワクチン接種のめどが立たず、カネは払ったがワクチンが手に入らないのは日本の外交力と拙さや信頼度の低さだろう。既に多くの国が国民のためにワクチンを手に入れ接種を始めていることを見れば、カネだけではない部分で優先順位を低くさせている何かがあるといえよう。

★結局、安倍政権の地球儀を俯瞰(ふかん)する外交など何の役にも立たず、国民が必要としている時に使えない外交力や信用では意味がない。その視点で言えば、わが国のコロナ対策は人災や政治的失敗の結果といえるものが多いのではないか。初動では当時の厚労相・加藤勝信率いる厚労省が理屈ばかりをめぐらせ最初に間違えたところから人災は始まり、インバウンド客を当てにした自民党幹事長・二階俊博や国交省の判断ミス、予定通りに20年のオリンピック(五輪)開催を優先し、結果的に対策が遅れた東京都。

★厚労相を田村憲久にすげ替え、慌てて経済再生担当相・西村康稔をコロナ対策相に任命するも、経済対策とコロナ対策のバランスが悪く、両輪にはならなかった。今度ははんこ担当の行革相・河野太郎をワクチン担当にするなど、首相・菅義偉の責任回避のためにコロナ関係担当相を乱造して混乱に拍車をかけた。それぞれが会見を開き、国民のためにならない情報公開を繰り返して「やっている感」を出すのは大事な会見は首相が行うからだ。その首相会見も、内閣広報官を隠すためにぶら下がりに変更。最後は記者に逆ギレするというおまけまでついた。コロナ人災は続く。(K)※敬称略