地元墨田区はもちろん全国の経営者にフェイスブックの活用を勧めてきた。匿名ではなく実名発信で、友達向けと一般公開を使い分けられるので、責任ある大人が使うのにふさわしいと考えたからだ。おかげさまで、全国で公私共に活用する経営者仲間が増え、これまで楽しく交流してきた。

しかし規模の不経済か、システムとユーザーの不良化が進み困惑している。
まずは友達システムの崩壊だ。五千人の上限で新規追加ができない上、名前だけ友達で実質は交流が無い人の検索や削除も難しい。その上、海外からの詐欺まがいの友達リクエストがメッセージだけでなく記事コメントにも溢れだした。
逆にもっと親しく交流したい友達の投稿記事が表示されずに見逃してしまう。
もっと困るのは記事データベースの限界だ。私は全国の観光地域づくりを支援する講演をライフワークにしている。事前資料作りで以前ご当地を訪ねて投稿した記事を検索するが、最近は投稿したはずの記事が見つからない。日々の感動を記録する日記兼備忘録として活用してきたのに、これではデータベースの役割をまったく果たさない。何より、肝心の投稿記事が保存されているか、無断で消去されたかも不明で不安だ。
さらに友達の投稿の代わりに怪しげな広告が増えだした。実名SNSを標榜しながら偽ブランドをちらつかせたフィッシング広告など本来あってはならない。無料の広告モデルだからと諦めるのにも限界がある。
今こそ、真の友達と生涯続く心の交流を大切にし、本気でSNS投稿を続けて記事を遺したい大人向けの有料SNSが必要だ。
それは無料でフォロワーを増やしバズることを目的とするのではない。毎月使用料を払ってでも、多忙な全国の友達と智慧と感動を共有して人生を豊かにするための場である。さらに自分の生きた証をネット空間に保存共有し、未来に語り継ぐ個人資料館なのだ。
友達データベースは各自が追記し改良できる。表示して欲しい友達の優先順位に加え、お互いの共通の関心事や趣味も入力できる。それにより大切な友達による共通の関心事に関わる投稿を見逃すことは無い。例えば私のオタク趣味である電線の写真は電線クラブの友達には優先表示される。
有料期間中は確実に保存される記事データベースも秀逸だ。例えば鳥取県民藝美術館を観てカレーを食べた記事なら、住所・施設・料理別の検索タグが簡便につき、後で自分や仲間の記事を検索するのも容易だ。
何より自分が生涯追い求めるテーマの記録集が自動的に完成するのが嬉しい。牧野富太郎博士が生涯かけて集めた標本で図鑑を完成させた如く生き様を遺せる。
死後にも有料で永久保存される記事が保管できるSNSは、書籍出版が危機を迎える今、未来に遺すべき新たな図書館であり、AIにとってご馳走になろう。
[日経産業新聞2023年10月27日付]
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