ツイッターでの評論が人気の野球ファンが執筆した「巨人軍解体新書」(光文社、924円)が話題となっている。筆者のゴジキさんは、試合前後に気になったあのワンプレーや起用法に独自の見解を提示する。時にワンプレーを巡って、ファン同士で議論が伯仲することもある。インターネット界隈(かいわい)で有名な「お股ニキ」さんを担当した編集者から出版のオファーを受け、構想から約3か月で書き上げた。(久保阿礼) 巨人のチームカラーでもあるオレンジ色の新書は書店でもひときわ目立つ。 ツイッターでも使用する「ゴジキ」のアカウント名は、元巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜さん(46)のニックネームから名付けた。公表しているプロフィルは男性のみで、職業も「秘密」。正体不明の男性は試合の前後に巨人の戦いぶりなどについて投稿し、時に采配などを巡って議論が伯仲することもあった。「仲間同士で、居酒屋でも、ネットでもやっぱりいろいろ語り合うのは楽しい。さまざまな考察をしていくことで、より試合を深くみることができますね」 今、ソーシャルメディアの世界では、ファンによる試合評論が定着しつつある。「プロ野球死亡遊戯」のブログを執筆するライター・中溝康隆さんのほか、サッカーやバスケットボールなどほかのスポーツでも影響力を持つインフルエンサーが増えてきた。ゴジキさんの投稿は、投手のフォームや球種などの分析に定評のある「お股ニキ」さんを担当する編集者の目に留まり、出版のオファーが届いた。 ゴジキさんがこれまでに出た巨人関連の書籍を調べると、優勝を逃したシーズンの敗因分析や、V9時代など過去の栄光を振り返る内容が多く「全体を俯瞰(ふかん)するような巨人論が少ない」と感じたという。 今の巨人は、どのようにして形作られたのか。著書では、その答えをできるだけ分かりやすく解説した。ファンもアンチも多い球団の力の源泉は何か。ブランド力、哲学、球団経営のほか、2000年代以降、活躍した選手や特徴を徹底的に分析した。坂本勇人、菅野智之、高橋由伸、上原浩治、阿部慎之助ら選手や原辰徳監督の手腕まで、数字を根拠にしつつ、さまざまな角度から「強さ」の理由に迫った。 さまざまな指標を読み解き、表現していく作業が好きだったという。「原稿を書くという作業は初めてでしたが、あまり苦になりませんでした。今までツイートしていた内容を肉付けし、アウトプットする感じです。3~4か月で書き上げ、ゲラが出来上がった段階で『ああ、終わった』と実感しましたね」 もともと、勝者のメンタリティーに関心があった。チームスポーツでは、トップに君臨する球団やクラブが世界各国に必ず存在する。サッカー界では、スペインのRマドリードやバルセロナ、米大リーグ(MLB)では、ニューヨーク・ヤンキースなどが象徴とされてきた。「優勝以外は敗北」と厳しい視線を送られる巨人の「スポーツ界における立ち位置」に興味があった。 「監督、選手、関係者は勝つことが求められる環境に身を置いて、果たしてどのような心境で試合を進めていくのか。最近では、セイバーメトリクスなどさまざまな指標がありますが、数字には表れない部分も必ずあります。そこを言葉で体系化していきたかったですね」 今季の原巨人がリーグ3連覇から日本一を実現させるためのデータを提示したウェブ連載や、「野球の玄人向けの著書」の執筆も始めており、今後もさまざまな媒体で発信を続けていく。 「巨人は交流戦を勝ち越せるかどうかが前半戦、最大のポイントです。交流戦、日本シリーズとパ・リーグの力が上回る中、セ・リーグはどこまで戦えるのか。最初の関門になるでしょう。野球関連で第2弾、第3弾のお話も頂いています。ファンの方と一緒に楽しみながら、今後も書いていければと思います」 ◇ゴジキ 試合全体からワンプレーまで徹底分析を重ねたツイートが好評。ファンである巨人軍の選手を含め約1万5000人のフォロワーがいる。主に巨人や高校野球を中心に執筆する。好きな選手は松井秀喜と坂本勇人。
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