
天栄村の国道118号に昨年11月末に開通した鳳坂[ほうさか]トンネルは県中地方と南会津地方の往来を円滑にし、住民の利便性向上、地域産業の活性化につながると期待されている。開通効果を特に羽鳥湖高原と、その周辺地域の観光振興につなげたい。
県は東日本大震災からの復旧・復興事業として2013(平成25)年度からトンネルの前後を含む鳳坂工区約3・4キロの改良を進めた。トンネルの開通前、国道は鳳坂峠を通り、急カーブや急勾配が連続する難所だった。冬場は天候によって積雪や路面凍結があり、大きな支障をきたしていた。
トンネルの長さは約2・5キロある。県の試算によると、鳳坂工区の通過時間は車で7分短縮された。実際に通ってみると、急カーブや急勾配を通らずに済むという心理的な理由からか7分以上短くなった印象を受ける。村内の観光業関係者によると、交通量は大型車を中心に明らかに増えているという。
国道を利用する住民にとっても開通は悲願だった。開通後から今月中旬まで福島民報の投書欄「みんなのひろば」には、村内や会津若松市、白河市に住む5人の読者から開通を喜ぶ声が寄せられた。
風光明媚[めいび]な羽鳥湖を中心とした高原は、観光地として申し分ない。スキー場、ゴルフ場、ペットと一緒に過ごせる宿泊施設をはじめ、語学研修施設を兼ねた宿泊施設、ペンション、オートキャンプ場、別荘分譲地を備えている。二岐、岩瀬湯本、天栄の各温泉は環境省の国民保養温泉地に指定され、秘湯として人気が高い。二岐温泉には那須連峰北端に位置する二岐山の登山口もある。
村は村内のホテルや旅館、ペンションの宿泊客を対象に地酒を振る舞うトンネル開通記念キャンペーンを年末年始に繰り広げた。同様の取り組みはこれからも継続してほしい。羽鳥湖高原へのインバウンド(訪日客)や教育旅行などの可能性も広がる。てんえいふるさと公園に新しい農林水産物直売施設が5月に完成する予定で、県中はもとより南会津からの誘客も図れる。
県南と南会津の山間部を貫く国道289号甲子トンネルを利用すれば県中、県南、南会津をスムーズに周遊できる広域観光エリアにもなり得る。
新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、万全な感染防止策が求められる。だが、観光誘客増へ行政と民間が単独でも連携してでも、鳳坂トンネル開通という絶好の機会を十分に生かさなければならない。(川原田秀樹)
からの記事と詳細 ( 【鳳坂トンネル開通】観光振興につなげたい(1月27日) - 福島民報 )
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