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Wednesday, December 7, 2022

エルメス巡回展「エルメス・イン・ザ・メイキング」、匠の技を体感する - 読売新聞オンライン

 仏ブランド、エルメスの巡回展「エルメス・イン・ザ・メイキング」が11月22~27日、京都市京セラ美術館(京都市)で開かれた。職人たちの手仕事を披露し、ブランドの妥協のないものづくりや創造性を伝えるのが目的だ。(生活部 松本彩和)

 1837年創業、小さな馬具工房から始まったブランドは、頑丈かつ洗練された製品で、世界に名が知られるようになった。ハンドバッグのような皮革製品、スカーフ、時計、アクセサリー、磁器など製品は多岐にわたる。

 「創業以来、職人がブランドの中心。クラフトマンシップが息づいている」とエルメス執行役員副社長のオリビエ・フルニエさんは胸を張る。職人は約6000人で、全従業員の3分の1を占める。1年半かけて基礎を学び、5年の修業を経て、一人前になるという。展覧会はデンマークやシンガポールなど各国で行われ、今回は、各製造部門から計10人の職人が参加した。

 ブランドの原点という、 くら 作りを紹介するコーナーには、約30の革のパーツが壁に展示されている。熟練職人が丸みのある「ラウンドナイフ」や、ハンマーを駆使し、オーダーメイドで、馬の背や首、肩に、ぴったりとした鞍を作り上げる。全工程を一人の職人が手がけ、完成するまで延べ30時間かかるという。

 絵画のように精巧なスカーフは、シルクスクリーン印刷で作られている。デザイン作家が提案したデザイン画を元に、製版職人が色ごとにデジタルで版を作る。平均25~30枚、複雑な色柄は48枚に上る。

 プリント職人は、ピンと張られた白いシルクスカーフの上に、絵柄が刻まれた版を合わせ、一色ずつゴムべらで染料をのせて刷り上げる。少しでもずれると商品にはできない。技術習得まで3年かかり、うち2年は先輩の職人がつきっきりで指導に当たる。

 磁器の絵付け、バッグなど革製品の修理、全てが職人の手から生み出される。手入れや修理をしながら、世代を超えて受け継がれる製品を、揺るぎない たくみ の技が支えている。

 ◎スカーフのプリントの実演写真以外は、(c)Naca´sa&Partners Inc.

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