日本が「国際捕鯨委員会(IWC)」を脱退し、商業捕鯨を再開してから7月1日で3年となる。漁業者側は新しい母船を建造したり、漁を共同化してコスト削減を図ったりするなど時代に合わせた対応を急ぐが、鯨肉の人気は回復しておらず、先行きは見通せない。(虎走亮介)
「業界の将来は新母船の建造にかかっている」。東京都昭島市の三井造船昭島研究所で、「共同船舶」の所英樹社長(67)は気持ちを奮い立たせた。目の前には、20分の1の大きさの新母船の模型が置かれていた。
同社は沖合で漁をする唯一の会社だ。現在稼働している捕鯨母船は1隻。1987年に完成した「日新丸」で、調査捕鯨の時代から南極海などで操業を重ね、老朽化が進んでいた。
新母船は来年6月に起工し、2024年3月に完成する。全長112・6メートル、8970総トンで、三陸沖でニタリクジラなどを追う。建造費は六十数億円を見込む。所社長は「完成すればこの先30年は捕鯨を続けられる。捕鯨産業の復活の礎としたい」と強気だ。
ただ先行きは険しい。資源保護の観点から鯨の捕獲が制限されていることもあり、20年度の鯨肉の消費量はピーク時(1962年度)と比べて99%減の約2000トン。昨年度、市場に供給された鯨肉の卸売価格の合計は28億円だが、水産庁が捕鯨業界に支出した補助金は51億円に上る。共同船舶の鯨肉1キロあたりの平均卸値は1100円台で、補助金がなくても採算がとれる1200円には届いていない。
からの記事と詳細 ( 商業捕鯨再開3年「支援なければ産業維持できず」…すしやラーメン、新たな食べ方提案も - 読売新聞オンライン )
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