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Sunday, February 27, 2022

曲折十余年、下田市役所移転決着へ 廃校舎活用へ予算案 - 朝日新聞デジタル

 【静岡】下田市政を迷走させてきた新庁舎建設問題が決着しそうだ。時間がかかったことで、移転用地隣接の中学校が廃校の時を迎え、市は空き校舎を市役所として活用する方針を打ち出した。遊休公共施設のリノベーションという新たな着地点を見いだすことになった。

 24日、記者会見で新年度当初予算案を発表した松木正一郎市長は「いよいよ一歩を踏み出すことができる」と力を込めた。現庁舎から約2キロ内陸に入った庁舎建設予定地に隣接する稲生沢(いのうざわ)中学校の鉄筋4階建て校舎を庁舎として再利用する。予算案には、改修工事設計に2千万円、当面窓口業務などで利用を続ける現庁舎西館と別館の耐震補強関連経費2350万円を計上した。

 1957年に完成した本館は耐震基準を満たしておらず、現在地で建て替えることを基本に2009年に検討が始まった。しかし、11年に東日本大震災が発生。下田市は南海トラフ巨大地震で最大33メートルの津波に襲われ、下田市役所も5・5メートル浸水する想定が公表された。新庁舎問題は立地場所から見直しが迫られた。

 松木市長まで4人の市長がこの課題に取り組んだ。候補地も郊外高台の公園、現庁舎に近い伊豆急下田駅との駅ビル化、高台公園近くの民有地と二転三転した。

 前市長の下、稲生沢中学校隣接地に予定地が決定したが、今度は近くを流れる稲生沢川の洪水の浸水想定が変わり、予定地が最大2・2メートル浸水するとされた。

 20年6月の市長選で当時の現職を破り初当選した松木市長は、コロナ禍に伴う財政難、洪水対策への対応などを理由に同年度内着工の予定を延期した。このことが新たな展開に結びついた。

 市内4中学校は22年4月、最初に庁舎移転候補地となった公園に隣接する下田中学校に統合され、稲生沢中学校は廃校になる。市は21年、稲生沢中学校施設の耐力度調査と現庁舎の安全調査を実施。校舎の健全性が判明したことから、最も危険性の高い本館にある課と議場を24年春、先行して校舎に移転。窓口のある西館1階と検診室がある別館は補強して業務を続けることにした。新庁舎が完成する26年春に全ての機能が移転し開庁する計画だ。

 浸水の恐れのある1階部分はエントランスや駐車場、市民開放ゾーンとして執務室の機能は置かない方針。市企画課は教室の黒板を残すなどの方法で校舎の面影を感じてもらえるよう工夫する。校舎を活用することで事業費が15%から25%削減できると試算している。

 松木市長は「現有施設を活用することで新築棟を圧縮できる。デジタル化、人口減少などにより将来、市役所のあり方も変わる可能性が大きく、そのことへの対応も考えた」と説明した。(岡田和彦)

2009年 下田市が庁舎建て替えの検討開始

 11年 東日本大震災発生。現在地での建て替え白紙に

 12年 石井直樹市長が高台の敷根公園への移転を決める

    建設目標を15年度から17年度に変更

    楠山俊介新市長が建設先送りを表明

    商議所・商店会連盟が場所の再考を求める

 13年 楠山市長が移転白紙撤回。駅ビル化案など浮上

 14年 敷根公園より市街地寄りの民有地が候補地に

 15年 新庁舎建設用地の変更を求める市民の会設立

    市民の会が建設地の変更を求める請願書

    市議会が市役所位置条例案否決

 16年 市長選で建設地変更を主張した福井祐輔氏が初当選

    建設目標を20年度として公表

 17年 福井市長が稲生沢中学校の隣接地を新候補地として表明

    市議会が市役所位置条例案否決。その後可決

 18年 新庁舎設計業者を決定

    稲生沢など4中学校の下田中学校への統合決定

 19年 稲生沢川洪水浸水想定で予定地は最大2.2メートル浸水

 20年 入札不調

    市長選で松木正一郎氏が初当選。事業延期を表明

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