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Saturday, December 26, 2020

「定礎」の意味とは? - マイナビニュース

街を歩いているとたびたび目にする「定礎」。見たことはあるけど何か知らないという方も多いのではないでしょうか。定礎は日本だけにあるものではなく、もとは古代ローマや古代ギリシャで行われていた風習なのです。今回は定礎の由来や歴史、建物に設置されている意味をご紹介します。

定礎とは

定礎とは建物の土台となる石のことです。ビルなどを建築する際に、基準とするための石を置いて定めることを定礎と呼びます。現在はビルの外観で目にしたり、定礎式という言葉を聞いたりすることもあるかもしれません。読みは「ていそ」です。

「礎」とは

まず定礎の「礎」についておさらいしていきましょう。「礎」は「いしずえ」と読みます。「柱石」や「根石」とも呼ばれ、建築物の柱の下に据えておく基準の石のことです。転じて、物事の根幹ともなる大切な要素という意味もあります。「その法律は王国の礎となった」など、使えるのは建築物だけではありません。

「礎」を「定」めるで「定礎」

礎は建築物になくてはならない基準となる石のことで、定礎とはそれを定めること指します。つまり、建築をはじめる際に礎となる石を置くことや、その際に行う儀式のことを定礎式というのです。

今ではさまざまな定礎を街で見かけることができます。個性的な定礎やおしゃれな定礎を見つけるのが趣味の「定礎マニア」という方もいるようです。

定礎のある場所は

「定礎」と書かれた立派なプレートを目にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。何かの日付が書いてあり立派な石でできていることから、独特の重厚なオーラを放っているものもありますよね。

定礎を置く場所は、建物の正面玄関付近や南東側に置くのが一般的となっています。そのためビルに入るときなどに目にする機会も多いかもしれません。

設置義務はある?

多くのビルで目にする定礎ですが、建物に必ず設置するように法律などで義務付けられているというわけではありません。建築基準法などを確認しても定礎に関連したルールはないのです。 現代では定礎石を置いたり、定礎式を行ったりするのはあくまで慣習的なものといった意味合いが強いようです。

定礎の歴史

今でもよく目にする定礎ですが、その歴史は古く古代ギリシャや古代ローマの時代までさかのぼります。定礎石が立派な明朝体などで書かれていることが多いことから、なんとなく日本ではじまったイメージをお持ちの方も多いですが、実は日本以外で生まれた慣習なのです。

続いて定礎の歴史についてご紹介します。

古代ギリシャや古代ローマで行われていた風習

古代ギリシャや古代ローマでは、着工する際に建物の基準となる石に印をつけ、その建物が滞りなく完成することや長く続くように祈る風習があったといわれています。これが今の定礎・定礎式のはじまりです。

日本では明治時代から行われるようになった

ヨーロッパで行われた定礎式ですが、日本には明治時代に入ってきた文化のようです。日本では江戸時代から明治時代にかけて開国が行われ、ヨーロッパなどの文化が急激に日本に浸透しました。レンガ造りや石造りなどの西洋風の建築が入ってきた際に、同時に定礎の文化が日本にも伝わったようです。

今でも「定礎式」が残っている

当初は建物が建築されるときに行われていた定礎式でしたが、今では建物が完成する直前に行われることが多いようです。竣工日などが記載された定礎石も建築の仕上げとして設置されることが一般的です。 もとの意味合いよりも、その慣習のみが今も残っているかたちとなります。

定礎式とは

定礎式とは建物の礎石を定めるときに、守護神に対してその建物が無事に完成することと、完成した後も長く繁栄していくことを祈願する行事です。

建築方法が近代化し、礎石自体に意味がなくなった今でも古くからある願いは変わらず、慣習として現代に残されています。

定礎式を行うタイミングは?

定礎式では建物が滞りなく完成することと、末長く繁栄していくことを祈願しています。そのため昔は建物が着工する際に定礎式が行われていました。しかし現代の定礎式は建物の完成間近に行われる式となっています。前述のように定礎石も建物の仕上げに据えられることが多いようです。

定礎式で収められるもの

定礎式では、よく目にする定礎石のみを収めるわけではありません。定礎石はタイムカプセルのような役割をしており、中にはさまざまなものが入ってるのです。そのため定礎式では、タイムカプセルの蓋の役割となる定礎石と中に収める収蔵品、それらを腐食から守るための定礎箱が収められます。

定礎はタイムカプセル?

先ほども触れたとおり、定礎は目に見える石だけではなく、中にはさまざまなものが収められています。最後に定礎石についてや、普段目にすることができない定礎石の中に入っている収蔵品についてご紹介します。

定礎石に書かれる情報は

定礎石には「定礎」という立派な文字が書かれています。一般的なフォントに限らず、施主さんの直筆をもとにしたものや個性的なデザインがされているものなどさまざまな定礎石があるようです。街を歩いているときに面白い定礎石を探してみると楽しいかもしれません。

また、定礎石には一般的に工事の完成日が書かれています。定礎の性質上、以前は建築がはじまった日が書かれていましたが、定礎式が工事の仕上げになるにつれ日付も建物が完成となる日(竣工日)へと変わっていきました。

一般的な定礎石は「定礎」という字と竣工日となる日付で構成されています。しかし定礎には法律上の決まりがないことから、他にも施主の名前や工事に携わった建築会社の名前が書かれたものなどもあるようです。

定礎の中に入っているもの

建物の礎というよりも今ではタイムカプセルとしての意味合いが強い定礎石ですが、中には一体何が入っているのでしょうか。

定礎石の中には土地を守る氏神様のお札やその建物の図面、会社の社史や施主の名前・建築会社名が書かれた板などが入っています。それだけではなく、定礎式が行われた日の新聞や流通しているお金、その時代を象徴するような話題となった品も入っているようです。

こちらも明確な規定はないので、施主さんや建築会社の中で相談して決められるのが一般的です。建物に関連しないものまで入っているとは、本格的なタイムカプセルのようですね。

このような収蔵品は定礎箱と呼ばれる箱の中に入っています。定礎箱は収蔵品を長年守っていく大切な役割を持っているため、腐食に強い銅やステンレスといった金属でできています。

中を見ることはできない

その日の新聞や時代を象徴するようなものが入ったタイムカプセルともいえる定礎石。その中を目にしてみたいものですが、実は一度中に収められたものを開くことは基本的にありません。定礎箱を開けることができるのは、そのビルを取り壊したときになります。ビルによっては100年以上前の定礎箱も街の中で眠っていることでしょう。

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ビルの正面玄関付近や南東側に設置されている「定礎」。古代ローマ時代からある建物の礎となる石を定める際に土地の神様に対して祈りを捧げる風習が、明治時代に西洋建築が日本に伝わるのと同時にやってきました。もともとは着工の際に行われていた儀式でしたが、現代では建物の仕上げの際に行われるのが一般的となっています。

中にはお札だけではなく図面や建築主、建築会社名が書かれたプレートや、さらに新聞や時代を象徴するものなどが大事に保管されており、建物のタイムカプセルということができそうです。建物が作られた時代に思いを馳せながら、「定礎」と書かれたプレートを探してみるのも面白いかもしれませんね。

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