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Saturday, August 15, 2020

所得倍増計画の池田勇人元首相が考えた「政治の順序」とは(NEWS ポストセブン) - Yahoo!ニュース

 * * *  池田の目指す「人づくり」は技術者養成が到達点ではなかった。所得倍増計画発表後の会見でこんな言葉を残している。 「これまでの教育は、自主独立、おたがいに他を信頼するという面での教育ができていない。階級闘争の教育はできているが、人格を完成する教育ができていないので、これに力を入れる」  池田番記者を長く務めた山岸一平・日経新聞社元専務の証言である。 「池田さんが国政公聴会で熊本に行ったとき、思い出の地・旧制五高にある夏目漱石の碑を見て、『これから池田内閣がめざすのはこれだ。高度成長の次は教育だ』と語っている。それから教育に一層熱心に取り組んだ」  熊本大学の校内には旧制五高で教鞭を執った漱石の銅像と「夫レ教育ハ建国ノ基礎ニシテ、師弟ノ和熟ハ育英ノ大本タリ」と刻まれた碑がある。  見たのはこれであろう。何を感じたのか。

 池田が「教育は建国の基礎」と再認識したのは、「軽武装、経済重視」一辺倒の外交の限界に直面したからだという見方がある。  世界がキューバ危機や中印紛争で揺れる1962年の秋、池田は欧州を歴訪した。帰国後、米誌タイム・ライフの編集局長の訪問を受け、「池田総理は、軍事的解決と、政治的・経済的解決をいずれを重要と考えますか」と質問される。  池田の首相秘書官を務めた伊藤昌哉は著書『池田勇人とその時代』で問答をこう再現している。 〈私は池田がどう答えるか、非常な興味をおぼえた。池田は即座に、「文句なしに軍事的解決です」と答えた。池田は日本国の権力の頂点にたって、諸外国の首脳と接触し、日本国の力の限界をはっきりと知らされたのだろう。国際社会における国家権力の本質は、本来、裸の暴力そのものである。それは銃口のうえにのみきずかれる〉  そして池田の教育論の背後にあった思いをこう書く。 〈自分の国を自分たちの手でまもるには、どこの国にも厄介にならぬ軍事力を、自分たちがもてばよい。これは簡明率直な理論であるが、日本の国情はそれを許さない。(中略)では、どうやって国をまもるか。それには国民の一人一人が国を愛する気持ちを育てなければならない。具体的なことにしか関心がなかった池田は、皮肉にも、こうしてもっとも抽象的・観念的な人づくりという問題を、みずから提起しなければならなかった〉

 所得倍増計画で「衣食足りる」ようになれば、いずれ軍事的な自主独立が大きな課題になる。しかし、皮肉なことに池田の「軽武装」路線の下で経済成長を謳歌する政治家も国民も、そのことに思い至らない。池田が「自主独立」を教育の柱に据えようとしたのはそのためだったという指摘である。  国民の生活を安定させ、国民個々が「守りたい」と思える国づくりをする。それが池田の考えた政治の順序であり、経済政策以上に安倍が池田に学ぶべき政治のありようではないだろうか。 ※週刊ポスト2020年8月14・21日号

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