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Friday, March 6, 2020

松山智一のアートがLAにも! いま、西のアートシーンに注目すべき理由 - GQ JAPAN

松山智一のアートがビバリーヒルズを彩る

「このプロジェクトも、いまになってインフラを整備しているLAだからこそなんですよ」

車社会の印象の強いカリフォルニア州ロサンゼルス郡はいま、公共交通機関の整備を進めている。この10年で治安がよくなり、新しいメトロレールの駅が続々とうまれているのだ。ダウンタウンにほど近いユニオン駅から西へと続くパープルラインも、ただいま絶賛工事中。今年に入り、その工事区間であるビバリーヒルズ市の一角にカラフルなミューラル(壁画)がお目見えした。日本人現代アーティスト、松山智一の作品だ。

西海岸らしい太陽が作品を照らすなか、MATZU(みんな親しみをこめて、そして発音のしやすさもあってこう呼ぶ)さんは、まぶしそうに目を細めて、絵を見てほほ笑んだ。

ロデオドライブ駅が完成するまでの工事期間中、工事区間を遮蔽する壁をどういうものとするかについては、地域でいろいろな意見があったようだ。そして、最後には、「(遮蔽物はいやでも)毎日見るものだから印刷物なんて絶対お断り」というビバリーヒルズ市コミッティの強い意向が通って、壁を飾るのはアート、それも絵画にしよう、ということになったのだという。

「この一角で小売業を営む人たちが、自分たちのコミュニティをどう作るかということと、税の割り当てに強い発言権を持っているんです」と、松山さん。彼らの強い思いがあって、地域を巻き込んでアートを披露するリボンカット式典まで行うというまれなことが実現したそうだ。

「うれしいですね。式典でのスピーチでも言いましたが、ニューヨーク在住の日本人で、LAやビバリーヒルズなどのローカルアーティストではない自分が、ここの文化創造に貢献できるというのがすごくいまの時代らしいと思います」

リボンカット式典で、ビバリーヒルズ市長がまずはスピーチ。

© City of Beverly Hills

アートの前に設けられた撮影スポット

© City of Beverly Hills

リボンカット式典を主催したビバリーヒルズ市協会マネージャーのロバート・ウェルチさんによると、ローカル出身でないことこそが、松山さんが選ばれた理由のひとつである。そして、「ビバリーヒルズはダイナミズムをもつ都市です。ここを彩るのは、それぞれ違った意見や側面をもつ人々です。このミューラルを見る人が自分もまたこのアートの1ピースであるかのように感じてもらえたらいい、と思い、そう感じさせるアートを創造するアーティストを選びました。松山がその人です。そして松山に既存の作品の中から、この場所にふさわしいものとして、3、4作品を提案してもらいました」と、つづけた。

日本人としてのアイデンティティを主張しながらも、多様性をもつ松山さんの作品から選ばれたのは千羽鶴を抽象化した作品だった。松山さんとプロジェクト専門チームは、オリジナルをそのまま使うのではなく、この壁画のために既存作品をあらたにアレンジし、ここLAの景色になじむ作品を描いた。

LAは敷居の高くないアートを楽しむことのできる絶好の場所で、松山さんによれば、LAをはじめ西海岸は、無名の、そして売り出し中のアーティストをどんどん受け入れているのだという。それができるのは、裕福でない若いアーティストたちをサポートする仕組みが整っているからでもある。ニューヨークの「バワリーミューラル」に昨年、パブリック・アートとして壁画を描いた松山さんは、いまやまぎれもない一流アーティストだけれど、ビバリーヒルズ市がアーティストの選出を始めた2、3年前には、かれもまた「アップカミング(これから来る)アーティスト」のひとりでしかなかった。

© Brandon Shigeta

「僕をコミュニティに迎え入れてくれてありがとう」とあいさつする松山さん。

© City of Beverly Hills

絵のタイトルは、千の想いがそれぞれを彩る、というもの。

© City of Beverly Hills

松山さんのカラフルで、東と西や古典と現代などの垣根を飛び越えたアートは、LAの空気にあうようで、西海岸最大級の美術館LACMA(ロサンゼルスカウンティ美術館)でも、彼のほかの絵画作品が収蔵されたばかりだ。

LACMAのキュレーターのホリス・グダルさんに、松山さんのアートについて聞いたところ、「かれのめまいがするような構図は魅力的で、長時間をかけた作品のどれも一過性のものではなく時空を超えて生き残るでしょう。われわれのようなさまざまな文脈を提示する大きな美術館にふさわしい作品です」と述べた。

一過性といえば、ビバリーヒルズの壁画は工事中だけのもの。駅が完成したら、あのアートはなくなってしまうのだ。いつまで観ることができるかははっきり決まっていない。アートをテーマに、変わる風景と歴史の一部を目撃しにLAを訪れてみるのはいかがだろうか。

LAを代表する美術館、LACMA外観

© LACMA - The Los Angeles County Museum of Art

LACMA - Los Angeles County Museum of Art

5905 Wilshire Blvd.
Los Angeles, CA 90036 USA
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文・八木橋 恵

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