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Tuesday, April 23, 2024

「そこに行き交う人」とセットで広告は完成する ゼクシィの周年メッセージから見るOOHの魅力 - AdverTimes.

『ゼクシィ』は2023年12月1日、渋谷に30周年のメッセージ広告を掲出。広告には、実際の同性カップルや事実婚カップルを起用し、話題となった。人流が戻りつつある今、OOHに期待する価値について、リクルート『ゼクシィ』首都圏版編集長の日置香那子氏に話を聞いた。


見る人の目線とメッセージを同じ高さにした。

『ゼクシィ』30周年で取り上げた“多様な愛”

リクルートが運営する結婚情報誌『ゼクシィ』は2023年5月に創刊30周年を迎えた。同年12月1日には周年メッセージ「あなたが幸せなら、それでいい。」を添え、さまざまなカップルの写真を採用した広告をJR渋谷駅前などに掲出した。今回、ゼクシィの広告で初めて同性カップルを起用したことでも話題になったが、企画の経緯をリクルート『ゼクシィ』首都圏版編集長の日置香那子氏は次のように話す。

「『ゼクシィ』が30周年を迎えるにあたり、すべての人たちのそれぞれの幸せのカタチを応援し、寄り添いたいという気持ちがありました。『ゼクシィ』は結婚する人たち、いわゆる“法律婚”だけを応援しているイメージを持たれていたことも事実としてあり、周年という節目の今だからこそ改めて、私たちの想いを言葉にして伝えるべきだと思い、このメッセージを掲げました」。

周りの景色や行き交う人々など付近の環境すべてを含めて完成

企画当初は、デジタルを主戦場に展開することも検討したというが、最終的に掲出先はOOHのみに。OOHを選んだのは、今回のように販促的なものではなく、“メッセージを伝える・届ける”ことにおいては、リーチよりも、生活者にきちんと理解して、立ち止まって考えるきっかけを与えることが大事だと考えたからだと日置氏は語る。

「今回は渋谷憲章シートやポスターで広告を掲出しましたが、見る人の目線とメッセージを同じ高さにしています。物理的にも生活者と同じ目線に立つことで、『ゼクシィ』が皆さんと同じ立場で、同じ場所にいることが伝わるよう意識しました。スマホの画面上でたまたま流れてきたものをスクショして誰かにシェアするのとは違い、OOHは生活者が見て、写真を撮ることで初めてシェアが成り立ちます。その広告に何かを感じたからこそ立ち止まり、写真を撮るという『行動』を伴う。そのためきっと、心にも刻まれやすいですよね。リアルでの体験・体感というところはやはり、OOHならではの魅力だと思います」(日置氏)。

人々にインパクトを与えられるOOHだが、屋外に設置されるからこそ、広告そのものだけでなく、そこに集う人々の気配も相まって、よりメッセージ性が強まることもある。多様なカップルを取り上げた本広告と多様な人が行き交う渋谷という街の特性がセットになることで、より広告は完成に近付いたと日置氏は振り返った。


登場したカップルは全組オーディションで決定。性別や関係性に関わらず、2人の生き方が素敵だと感じたカップルを起用したという。

すぐに取り下げられないことで社内の覚悟を強くする

12月1日に広告の掲出を開始すると、SNS上ではさまざまな意見が溢れた。話題は広がり、Web記事では1000件の露出(転載含む)、Xでの関連投稿は3万件以上、SNSでの総リーチ数は4000万を超えた。そのなかであがっていたのは、ポジティブなコメントだけではなかったが、ネガティブな意見があったからといって、SNSとは異なりOOHはすぐに掲出を取り下げることはできない。

「メッセージを出す前から、賛否の声があることは想定していました。ただ、それ以上に『出したら下げられない』という気持ちから、しっかりと社内で想いを共有したり、意見を出し合ったりして、掲出することへの覚悟を強めていくことができたことは良かったと思います。社内でも社会でも、このテーマに関して議論がなされたというのが何よりの収穫です」(日置氏)。

たまたま出合うからこそ心に刺さることがある

SNSなどのアルゴリズムの中では、自分の趣味趣向にあった内容の広告が流れてくるが、OOHは街で偶然目にするものがほとんど。たまたまその広告を見た時の感情や一緒にいる人との空気感によって、受け止め方も変わる。

「偶然の出合いだからこそ、その時の感情によって、心に刺さることがあります。よりメッセージ性の強いものを発信したり、企業やブランドの意思表明をしたりするときは、受け取る側の気持ちも相まって良い形で消化されていくOOHが有効なのではと考えています」と日置氏は語る。

リクルート
『ゼクシィ』首都圏版編集長
日置 香那子氏

新卒で玩具メーカーに入社後、2007年にリクルート入社。HR領域を担当後、2009年にゼクシィ編集部異動。編集記事制作に加え、付録の企画制作を担当。二度の産休・育休を経て、2017年より東日本版・西日本版編集長に。2022年より現職。

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