新型クラウンのワールドプレミアで、歴代クラウンの歴史と、その開発に携わった主査の想い、そして新型クラウンについて語る豊田章男社長(撮影:尾形文繁)
2022年7月15日、トヨタの最上級車種である「クラウン」がフルモデルチェンジを発表し16代目となった。
初代の誕生は、67年前の1955年だ。その前、1933年に豊田喜一郎は、自動車製造部門を豊田自動織機製作所内に設立した。そして2年後の1935年に、A1型と呼ぶ試作乗用車が完成する。このときは、内製部品もあったが、アメリカ・ゼネラルモーターズ(GM)の部品も用いていた。当時の日本では、GMやフォードの乗用車がすでに走っており、そうしたクルマの部品を故障の際などに活用できることを視野に入れたからだ。
続いてトヨタはトラックも製作し、こちらを先に市販した。次いで、A1試作車とトラックの技術を活用したAA型乗用車を発表することになる。これらを受け、1936年に豊田自動織機製作所は、商工省から自動車製造事業法の認可を得る。
純国産にこだわった初代「トヨペット・クラウン」
1955年発売の初代「トヨペット・クラウン」(撮影:尾形文繁)
第2次世界大戦後の日本の復興のなかで、国内自動車メーカーは欧米自動車メーカーと提携することにより、乗用車製造を軌道に乗せようとした。たとえば、日産自動車は英国のオースチンと、日野自動車(当時は日野ディーゼル)はフランスのルノーと、三菱重工(のちに分社化して三菱自動車工業となる)はアメリカのカイザー・フレーザーと、いすゞ自動車は英国のルーツと手を組むといった具合だ。
それらに対し、トヨタは純国産の技術で乗用車開発を行うと決意した。そして誕生するのが「トヨペット・クラウン」である。クラウンという車名は、喜一郎の案であると、新型クラウンの発表会で豊田章男社長は紹介している。
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