
ねえ、亜里砂、この前ばったりあなたと再会したとき、私、死のうと思っていたんだよ。巻き添えにしてあなたのことも殺してやろうと思ったんだ――なんて言ったら、さすがの亜里砂も驚くだろうか。
「つまりさ、私たち、もう半分以上、来ちゃってるんだよ。
私はかぶりを振る。
「ううん、しないよ。するわけない」
あの頃の私は、あと少しで自分が大人になることさえ
「ね。でも、想像なんてしなくても時間が過ぎれば
「完成……」
私は亜里砂の言葉を小さく繰り返した。人生はいつか終わるものではなく、いつか完成するもの。たとえば物語のように。
口角が上がるのを自覚した。
「亜里砂、あなたユニークなこと言うね」
そんな
「やだ、ター坊に言われちゃった」
亜里砂はけたけたと笑った。まるで鐘を鳴らしたように。
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