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Saturday, July 3, 2021

<豪雨3年>街に笑顔 集いの場から - 読売新聞

 2018年7月の西日本豪雨で、16人の死者・行方不明者が出た坂町の小屋浦地区で、住民が集う「コミュニティハウス」が今夏完成する。きっかけは、街に設けた意見箱に寄せられた「街にほしい物」だ。子供からも声を募ろうと、意見箱はドラえもんのひみつ道具にちなみ、「小屋浦もしものボックス」と命名。集まった声を受け、住民が手弁当で建築を進めている。(森谷達也)

 同年7月、小屋浦地区では山手で土石流が発生。砂防ダムが壊され、濁流が広く住宅地を覆い、全半壊などの住宅被害は708棟に上った。480件の住宅再建が行われたが、人口は約1割減り、被災後、地区唯一のスーパーが閉店した。

 「豪雨で街の活気が失われる」。子育て支援や街づくりなどに携わった地元の住民グループ「小屋浦地域づくり推進協議会」は危機感を抱き、19年6月、住民から意見を募ることを決めた。

 思いついたのがドラえもんに登場するひみつ道具「もしもボックス」。電話ボックス形で、電話で希望する世界を伝えると、希望通りに世界を変える効果がある道具だ。協議会の中心メンバーの中野大祐さん(49)は「街の未来を担う子供たちの声を募りやすくしたかった」と理由を振り返る。

 19年6月、「小屋浦もしものボックス」と名付けた意見箱を町立小屋浦小学校など町内5か所に設置。

 「もしも小屋浦に〇〇があったら」との質問に、希望を記してもらった。

 被災1年となる1か月後の7月、協議会のメンバーが箱を開けると、計272通の要望が寄せられていた。スーパーや複合施設などのほか、「過ごしやすい場所」「交流が出来る場所」という声もあった。

 要望を受け、協議会は、茶会や同窓会などにも利用出来る集いの場となる「小屋浦コミュニティハウス」の建築を決めた。

 ハウスは木造平屋建てで約40平方メートル。敷地は、同小南側の土地を無償で借り受けた。建材は、西日本豪雨で三原市に建てられた仮設住宅に使われていた木材を再利用する。ボランティアの住民約30人が手がける。

 6月に棟上げ式が行われた後、地元の小学生や保育園児が柱や壁に「安全な小屋浦に」「人が集まって明るい町になって」などのメッセージを寄せた。近くの「小屋浦みみょう保育園」の谷川蓮実ちゃん(5)は「ここでたくさん遊びたい」と笑顔を見せた。

 近く完成の見込みで、同協議会の出下一教会長は「ハウスが、みんなの笑顔があふれる場となり、豪雨で暗くなった街を明るい世界に変えてほしい」と期待を寄せている。

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