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Wednesday, February 3, 2021

「Sun Valley」に続く重大プロジェクト「One Outlook(Project Monarch)」とは何か:Windowsフロントライン(1/2 ページ) - - ITmedia

 2021年のWindowsを象徴するトピックとして「Sun Valley」や「Windows 10X」を紹介したが、今回はアプリケーションの話題に触れたい。

 内容は、1月上旬に話題となった「Project Monarch」こと「One Outlook」だ。Sun Valleyのようなユーザーインタフェースのリフレッシュとは異なるものだが、Microsoftがその時どきで「デスクトップ版Outlook」「アプリ版Outlook」「Outlook Web」「Outlook for Mac」「Mail&Calendar」のような個別のクライアントをリリースし続けたために、カオス状態になっていたアプリケーション戦略を見直し、プラットフォームをまたいで単一で軽量動作する新しいクライアント「One Outlook」を開発中というものだ。

Outlook Express 6.0 Windows XPで採用されていたOutlook Express 6.0の画面

ややこしいOutlookの歴史

 Microsoftのメールやタスク管理のアプリケーションの歴史をひもとくと、後に「Outlook Express」の名称を冠される1996年にInternet Explorer 3.0とともにリリースされた「Microsoft Internet Mail&News」にさかのぼる。これは、あくまで簡易メーラ(兼Net Newsフィード)という扱いなので、いわゆる多機能クライアントとしては1997年にリリースされた「Outlook 97」が初出となる。

 Lotus Notes対抗としてExchange Serverと連携するクライアントとして設計されたもので、メールや予定表を含むグループ連携機能が盛り込まれたのは、このOutlookが源流といえる。もちろん、Exchange ServerなしでもOutlook単体での利用が可能だ。

 一方、Mac版の事情はやや複雑で、いにしえのCarbon以前のプラットフォーム(OS 9)向けのExchangeクライアントは存在していたものの、Outlookライクなクライアントである「Entourage(アントラージュ)」がMac OS X向けに登場するのは2001年を待たなければいけなかった。

 Outlook for Macの正式版が発表されてEntourageが置き換えられるのは2011年なので、Windows版とは15年近いラグがある。しかもMac版Office 365クライアントの提供が開始されてWindows版と機能の共通化が図られるようになったのはさらに数年先の話で、同じOfficeファミリーの名称は冠していても「Macは特別」という時代は長かった。

Outlook for Mac 2009年に次期Office for Macの目玉として発表された「Outlook for Mac」(Macintosh Business Unitが2009年8月に行った国際プレスカンファレンスの資料より)

 これとは別の流れとして、モバイルプラットフォームの興隆に合わせてMicrosoftも専用のOutlookクライアントをリリースする必要に迫られた。このAndroidとiOS版Outlookアプリは、Acompliという企業が同名の製品を2014年4月にリリースしたものが基になっている。

 Acompliは同年12月にMicrosoftによって買収され、翌年には「Outlook Mobile」の名称でブランドが変更された。これとは別に、2015年にSunriseのカレンダー機能を買収してOutlook Mobileに包含した他、同年にはWeb上のOutlookにアプリ上からアクセスできる「Outlook Web Access(OWA)」、そして「Outlook.com」の提供など、矢継ぎ早にクラウド+モバイル環境を整えていく。

Acompli Acompliが提供していたAndroid版Acompli

 また、現在Windows 10に標準アプリとして組み込まれている「Mail&Calendar」は、もともとWindows 8とともに提供されたものが源流で、UIをリフレッシュする形で今日まで続いている。

 ただし、機能的には“オマケ”の域を過ぎず、正直なところ筆者はWindows 8から10までを通じて使ったことはほぼない。仮に「Microsoftのメーラ」に言及しただけでも、これだけの派生品とプラットフォーム対応があるのが現状というわけだ。One Outlookとは、この20年以上の時を経て醸成された秘伝の漬け置きソースを、新しい時代に即した形で刷新するのが狙いとなる。

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Project Monarchこと「One Outlook」とはどのような製品か

 One Outlookは「Project Monarch」の名称で知られる。Windows Centralのザック・ボーデン氏によれば、2021年内をターゲットに開発が進められ、主には2022年以降に多くのユーザーに対して届けられる製品になるとみられる。

 基本的に、既存のMail&CalendarアプリはOne Outlookの提供開始とともにメンテナンスモードへと移行し、Windows 10の統一的なメールクライアントとして既存製品を置き換えていく形になる。そのため、冒頭でも触れたSun ValleyによるUIの刷新はこれらのアプリにはほぼ適用されず、最終的にSun Valleyに準拠した形でOne Outlookは提供される。

 One Outlookがどのようなクライアントになるのかは不明だが、軽量動作が主体とのことでメールや検索に必要となる最低限のデータを保持するデータベースを抱えつつ、基本的にはWeb側の機能を呼び出す形式になるとみられる。もともとOutlook自身がOWAやOutlook.comの方に新機能を盛り込んできた傾向にあり、クラウドとローカルで両者のハイブリッド型アプリを目指すのではないかというのが筆者の考えだ。

 実際、One Outlookと思われるサービスのWebダッシュボードのURLが発見されており、ローカルだけでなくクラウド側にある程度機能を持たせていることが想像できる。なお、本件を紹介している記事によれば、このサイトは「aka.ms/monarch」でリダイレクトするURLでアクセスできたとのこと(現在はできないと思われる)。

 そしてこの報告があった翌日、Walking CatのTwitterアカウントがOne Outlookのセットアップを行うためのURLを紹介している。このツイートのツリーを見れば分かるが、実際にセットアップしようとしてできないという報告が相次いでおり、報告時点で本当にアクセスできたかは不明だ。また、アクセスには「Edge Dev」が必要だとWalking Catが付記しているが、少なくとも一般ユーザーが試せる状態ではなかったと考えていい。

 ところが、それから2日後の1月7日に、実際にOne Outlookのセットアップに成功したということでスクリーンショット付きの報告を行うユーザーが出現している。方法は秘密としているが、開発中のソフトウェアはこのようなものだという雰囲気を感じ取れればいいと思う。

 いずれにせよ、核となるSun Valley自体が進行中のプロジェクトであり、それをベースにしたOne Outlookが後手となり、外見からして未完成のように見えるのは当然だろう。

 またSun Valleyが成果として最初に一般公開されるのが2021年なのに対し、One Outlookはリリースのターゲットが2022年に設定されており、このあたりの差異も大きい。感覚としては、Sun Valleyのお披露目とともに開発中のOne Outlookのプレビューが行われるという感じなのかもしれない。

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