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Tuesday, February 9, 2021

国内初・分裂酵母で焼酎醸造 熊本大研究グループ、今秋にも完成 | 熊本日日新聞社 - 熊本日日新聞

 熊本大大学院先端科学研究部の谷時雄教授(63)らの研究グループが、分裂酵母を使った焼酎造りに取り組んでいる。日本酒や焼酎の醸造は日本醸造協会が提供する出芽酵母を使うのが一般的で、分裂酵母による酒造りは国内初だという。焼酎は天草市と岡山県の酒造元で醸造中で、今秋か来年春に完成する見込み。

 谷教授の研究テーマはRNAの新たな機能の解析で、RNAと遺伝子構造が似た分裂酵母を実験に使っていた。酒造りを思い立ったのは10年前、酵母の培養器が停止し、分裂酵母がアルコール発酵してしまったのがきっかけだった。「吟醸酒のような良い香りがして、『今すぐ飲みたい』と思ったほど。新たな風味の酒を造れると思った」

 酵母は増え方によって出芽酵母と分裂酵母に大別される。数百種類ある酵母の大半は出芽酵母で、分裂酵母は4種類しか確認されていない。研究グループは分裂酵母のうち「ジャポニカス」のみが豊潤な香りを放つと突き止め、2016年から本格的に酵母株の育種を開始。19年までにジャポニカスから醸造に適した株を分離することに成功し、「Kumadai-T11号株」と名付けた。

 同株を使い県産業技術センターで米焼酎の仕込み試験をしたところ、出芽酵母で造った焼酎に比べて香気成分のカプロン酸エチルが約5倍高かった。肥後銀行の資金助成を得て、昨年から天草酒造(天草市)で芋焼酎、多胡本家酒造場(岡山県津山市)で米焼酎の醸造を始めた。仕込みと蒸留の工程を終え、熟成期間に入っている。

 天草酒造の平下豊代表(43)は「分裂酵母の香りを生かした“熊大発”の芋焼酎を完成させたい」。谷教授は「原料はカライモなど全て熊本産にこだわった。完成したあかつきには『五高』の名前で売り出したい」と話している。(平澤碧惟)

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