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(写真:日刊工業新聞/共同通信イメージズ)
第一三共は東京大学医科学研究所と共同開発しているがん治療用ウイルスG47Δ(一般名テセルパツレブ)について、悪性神経膠腫(こうしゅ)に対する再生医療等製品として2020年12月28日に厚生労働省に承認申請したと発表した。「ウイルスでがんを治療する」とはいったいどういうことなのか。
がん治療用ウイルスとは、ウイルスが細胞に感染して細胞内で増える性質を使い、がん細胞を破壊しようというもので、「腫瘍溶解性ウイルス」とも呼ばれる。正常細胞で増殖できないが、がん細胞の中では増殖できる性質をウイルスに持たせることによって、がん細胞だけを狙い撃ちできる。加えて、がんに対する患者の免疫反応を増強する効果も期待されている。
インフルエンザなどの感染後にがんが消失したといった報告は古くからあり、ウイルスによってがんを治療しようというアイデアは数十年前から検討されてきた。19年末に専門学術誌に掲載された論文によると、初期の臨床試験段階のものを含めると、世界全体で100を超える臨床試験が行われている。臨床試験で対象としているのは、悪性黒色腫と呼ばれる皮膚がんや、膵臓(すいぞう)がん、脳腫瘍など、固形がんの中でも悪性度の高いものが多い。
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