コロナ禍における制服をめぐる各校の対応が興味深い。本書によれば、自宅でオンライン授業を受ける際に制服着用を求めた学校と、感染予防(洗濯のしやすさ)から制服着用を避け私服通学を促した学校があったという。前者の自宅での制服着用が学習意欲の喚起に効果があったか、ぜひとも聞いてみたい。
こうした最新の学校制服の情報を含みながら本書が扱っているのは、新制高校となった戦後以降から現在までの高校生の制服である。戦前に成立した男子の詰め襟、女子のセーラー服という決まりきった制服の型は、戦後ブレザースタイルが加わり、各校で異なるデザインへと多様化を遂げる。特に女子の場合は1980年代にチェックのスカートが制服に導入され、90年代のルーズソックスの流行とともに「女子高生」スタイルを作り上げた。96年に高校へ入学した評者も、ルーズソックス世代である。
一方で、制服がない高校も多数ある。中には70年前後の学園闘争の影響で制服を自由化した学校が含まれる。東京都や長野県に多く、東高西低の傾向があり、著者の調査では100校以上にのぼるという。この時期は学校制服が最も否定された時代といっていい。本書の特徴の一つは、この「制服がない」高校の事例を含めて戦後の制服史を捉えた点にある。
著者には『高校紛争』の著作もあり、詳細な取材が尽くされている。制服自由化の議論が起こったものの否決された事例や、一度は自由化した高校で制服が復活した動向にも目配りが及ぶ。それぞれの理由は、なぜか。これらの事例は制服の役割を考える上でとりわけ重要だ。
最終章では「制服自由化」を主張するに至った自身の高校時代の経験が披瀝(ひれき)される。その上で著者は、制服の管理的側面が生徒の「主体的な判断」能力育成の足かせになることを懸念する。さらに近年、制服をきちんと着る生徒たちの従順さや受け身の姿勢を危惧する。その流れでAО・推薦入試の導入が、生徒のまじめな制服の着こなしに影響を与えた-という指摘は、にわかには受け入れがたい。制服についてどう考え、どう行動しているか。もっと生徒自身の声が聴きたい。(小林哲夫著/朝日新書・850円+税)
評・難波知子(お茶の水女子大准教授)
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December 05, 2020 at 07:30PM
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【書評】『学校制服とは何か その歴史と思想』 戦後70年の変遷と論争 - 産経ニュース
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