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Sunday, December 27, 2020

余録:検察とは何か、が問われた年だった… - 毎日新聞

 検察とは何か、が問われた年だった。1月末、黒川弘務元東京高検検事長の定年延長閣議決定から、12月、「桜を見る会」前夜祭を巡る安倍晋三前首相の不起訴まで、率直に失望の念を禁じえない▲黒川氏の定年延長は安倍氏が「法解釈を変えた」と一度は押し切った。問題が再燃したのは3月、後付けで定年延長規定を盛り込んだ検察庁法改正案が国会に提出されたからだ。ネット世論に広がった怒りが、政府を成立断念に追い込んだ▲人事で検察を抑え付ける政権のおごり。政権に侮られた検察のふがいなさ。怒りは双方に向けられていたと考えるべきだろう。政権も検察もトップが代わったが、関係はどこまで変わったか。検察は安倍氏の捜査を尽くしたと胸を張れるか▲検察の栄光は、田中角栄元首相を逮捕したロッキード疑獄捜査の伝説に支えられてきた。ネット世論に呼応して法案反対の名乗りを上げた同疑獄の元担当検事たちが、「検察OBの反乱」と英雄視されたのが象徴的である▲国際ジャーナリスト、春名幹男氏の近著「ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス」は、15年かけた米公文書発掘と取材を通じ、他の2人の元首相を巨悪と名指しする。検察は知っていたが、田中氏その他の摘発で捜査をやめたという▲世論もメディアも、政治腐敗はいつか検察が懲らしめてくれると甘えてきた。だが、本当に政治をただせるのは結局、有権者しかいない。今年1年の経験は「検察世直し幻想」の終わりを告げているのかもしれない。

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