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Saturday, June 3, 2023

期待膨らむ「インスタントハウス」 災害支援や陸上養殖に活用へ ... - 東京新聞

 テントシートを空気で膨らませ、その内側に断熱用のウレタンを吹き付ければ4時間以内に完成する住宅がある。LIFULL ArchiTech(ライフル アーキテック、千代田区)が開発した「インスタントハウス」だ。その使い道への期待が大きく膨らんでいる。(押川恵理子)

現地の被災者らと施工したインスタントハウスを背に立つライフルアーキテックの幸田泰尚さん(左)=4月、トルコ・アンタキヤで(ライフルアーキテック提供)

現地の被災者らと施工したインスタントハウスを背に立つライフルアーキテックの幸田泰尚さん(左)=4月、トルコ・アンタキヤで(ライフルアーキテック提供)

 2月の大地震による避難生活が続くトルコ南部のアンタキヤで4月中旬、インスタントハウス3棟が設置された。日中の暑さやヘビの侵入に悩んでいた現地の女性は「涼しいし、安心して眠れる」と喜んだ。厚さ10センチのウレタンによって夏は涼しく、冬は暖かい。耐震性や耐風性も備える。

 価格はサイズで違い1棟110万円~258万円。今回は被災地を支援する日本の非政府組織(NGO)が購入し、トルコ側に寄贈した。現地で施工を指導した同社の代表取締役COO(最高執行責任者)の幸田泰尚さん(43)は「資材や施工スタッフを現地で集めればコストも下がり、被災地の雇用創出にもつながる」と手応えを語る。

 日本ではキャンプ施設での導入が多く、被災地での設置は初めて。最近、問い合わせが増えているのがサバなどの陸上養殖での活用だ。ビニールハウスに比べて温度管理の費用が安く済むからだ。エネルギー使用量が抑えられ、二酸化炭素排出量を削減できる。「持続可能性のある食料生産のインフラにつなげたい」と幸田さん。

 目標は大きく、「人類の持続性を高める」ことだ。送電線やガス管などとつなげず、再生可能エネルギーで快適に暮らす「オフグリッド」の実証実験も続けている。

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