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Thursday, April 13, 2023

自衛隊9条明記 自民は必要「法体系が完成」 立民は不要「国民は ... - 東京新聞

討議が行われた衆院憲法審査会

討議が行われた衆院憲法審査会

 衆院憲法審は13日、憲法9条や安全保障政策を中心に討議した。自民党や日本維新の会は9条への自衛隊明記が必要だと主張したが、公明党は9条ではなく、首相や内閣の事務などを定める72条や73条を軸に検討する課題だと訴えた。立憲民主党は改憲の必要がないという認識を示し、合憲性に疑義が残る敵基地攻撃能力(反撃能力)保有などの議論を要求した。 

 自民の新藤義孝氏は「国防規定と自衛隊を憲法に明記することは、憲法を頂点とした法体系を完成させることを意味する。防衛政策の内容や性質に変更をもたらすものではない」と説明。戦力不保持を定めた9条2項の削除については「国民の議論は現時点では深まっていない」と語った。日本維新の会の岩谷良平氏も9条への自衛隊明記を支持した。

 公明の浜地雅一氏は「自衛隊違憲論を払拭ふっしょくするための自衛隊明記という議論ではなく、民主的統制の観点から憲法に書き込むべきだ」と指摘。シビリアンコントロール(文民統制)をより徹底する観点から、72条や73条で内閣の指揮監督が及ぶ行政組織に位置づけることも一案だと唱えた。国民民主党の玉木雄一郎氏も、首相の職務を規定する条文への自衛隊明記を唱えた。

 立民の中川正春氏は「自衛隊は合憲で、役割と必要性は国民に十分に理解されている」として改憲に反対。政府が昨年12月に決めた敵基地攻撃能力保有や防衛力倍増方針について、憲法との関係を議論すべきだとした。共産の赤嶺政賢氏は「憲法を踏みにじり、大軍拡を推し進めることは絶対に許されない」と、岸田政権の姿勢を批判した。(佐藤裕介)

  ◇   ◇  

 13日の衆院憲法審査会での発言の要旨は次の通り。 

◆各会派代表の意見

 新藤義孝氏(自民)自衛隊を憲法に明記することは、防衛政策の内容や性質に変更をもたらさない。大前提は平和主義の原理を受け継いでいくことで(戦力不保持を定める)2項削除に国民の議論は深まっていない。安全保障における「必要最小限度」は相対的な概念で、具体的内容は平和安全法制や防衛三文書などの関連政策や防衛予算の国会論戦を通じ整理される。

 中川正春氏(立憲民主)自衛隊の明記は必要ない。現状で自衛隊は合憲。その役割と必要性について国民に十分理解されている。現在、最重要だと思われる論点は、自衛隊の運用が、専守防衛、必要最小限度の自衛力、集団的自衛権の禁止という規範をなし崩し的に超えてきている事実だ。これまでの規範を大切にし、現実の安保政策をこの範囲に収めるべきだ。

 岩谷良平氏(維新)自衛隊を解釈によるのではなく、憲法に明確に位置付けて合憲とするべきだ。維新は9条1項2項を維持し、新設する9条の2で「前条の範囲内で、法律の定めるところにより、行政各部の一として、自衛のための実力組織としての自衛隊を保持する」と規定すべきと考える。自衛隊違憲論を解消すべきとの趣旨は自民案も同様だと理解している。

 浜地雅一氏(公明)9条1項2項は堅持すべきだ。一部にある自衛隊違憲論を払拭するために憲法上明記するという議論ではなく、わが国最大の実力組織である自衛隊に対する民主的統制の観点から、憲法価値を高めていく意味でふさわしい書きぶりを求めていくべきだ。憲法72条、73条の内閣の職務として書き込んでいくことも考えられる。

 玉木雄一郎氏(国民民主)仮に自衛権の範囲は解釈に委ねるとして、自衛隊の違憲性の否定とシビリアンコントロールの明確化のみを改憲の目的とするのであれば、憲法の内閣の章に「必要な自衛の措置を取るための実力組織として、法律の定めるところにより内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する」という規定を設けた方が、目的に合致する。

 赤嶺政賢氏(共産)岸田政権は軍拡財源のために建設公債を発行する。過去の戦争の教訓を全く省みないものだ。日本は先の大戦で戦費調達のため、大量の公債を発行して軍備を増強。国家財政、国民生活を破綻に追い込みながら侵略戦争に突き進んだ。この反省から財政法4条は公債の発行を原則禁止している。憲法9条を具体化したもので重く受け止めるべきだ。

 北神圭朗氏(有志の会)自衛権の制約は国際法上、武力行使以外に自衛の手段がない「必要性」の原則と、受けた攻撃に対して均衡の取れた形で武力行使する「均衡性」の原則が確立されている。反撃能力もここに入る。どの兵器は許され、どの兵器は許されないという非現実的な制約は国際法上求められていない。国際状況に応じて柔軟な解釈をするのが現実的だ。

◆各委員の発言

 越智隆雄氏(自民)改憲原案は、各党が条文案を持ち寄るのではなく、審査会で論点が整理されていく中で徐々に作り上げられていく。わが党の自衛隊明記案も、あくまで考え方を提示しているにすぎない。

 谷田川元氏(立民)国会機能の維持にこだわるのであれば、国会機能を不全にする、時の政権による恣意(しい)的な衆院解散についてなぜ議論しないのか。この問題は常に生じる。先に議論するのが筋だ。

 小野泰輔氏(維新)緊急事態時の選挙困難事態の認定において、立法府の歯止めが利かなくなることについて、その可能性を想定し、(司法の関与など)制度上の手当てをしていくことが議員の責務だ。

 北側一雄氏(公明)参院の緊急集会による意思決定は、二院制の例外として憲法上、暫定的な措置と位置付けられる。最大70日間を想定し、緊急の必要があるときは、内閣は緊急集会の開催を求められる。

 吉田宣弘氏(公明)自民、維新、国民、有志の会から(緊急事態条項の)具体的な文言が示され、公明の幹事も意見表明で具体的な文言を提示している。(条文の)文言の検討を行うべき段階に来ている。

 熊田裕通氏(自民)国民にとって、自衛隊と9条の関係がわかりやすいとは言えない。条文を読むだけで理解できず、説明が必要とされることはあってはならない。どう解消するか。それが自衛隊の明記だ。

 大島敦氏(立民)憲法改正論議に当たっては、国民の各層全体を代表する立場であることを自覚し、個々の議員がよく考え、よく悩むことが欠かせない。憲法改正原案の採決には党議拘束を外すべきだ。

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