半導体製造工程で欠かせない化学品の物流拠点や製造工場が熊本県内に相次いで進出している。いずれも2024年末までに本格稼働を始める台湾積体電路製造(TSMC)熊本工場(熊本県菊陽町)の周辺だ。化学品は洗浄や研磨など幅広い工程で使われており、部品や製造装置だけでなく、裾野が広い半導体産業の集積が加速している。
産業ガスのエア・ウォーター(大阪市)は2月末、菊陽町に隣接する大津町で、TSMC向けに特殊ガスや化学品を保管して供給する物流倉庫と事務所の複合拠点を新設すると発表した。今年6月に着工し、24年夏に完成する予定だ。
関連企業との取引も見込んでおり、将来的には、不純物を除去する窒素ガスの製造プラント建設も視野に入れている。広報担当者は「関連工場の集積が加速する可能性があり、生産現場の近くで製造すれば需要を取り込める」と話す。
一宮運輸(愛媛県新居浜市)も2月、物流拠点を新設するため大津町と立地協定を結んだ。TSMC向けにウェハーの洗浄に使う薬液などを温度管理する倉庫を設け、配送も手がける予定だ。増田幸徳社長は「地理的に近い利点を生かしてより良いサービスを提供できる」と話した。化学品物流のNRS(東京)も7月、半導体製造に不可欠な高圧ガスや化学品を保管、運搬する物流施設を大津町で稼働させる計画だ。
富士フイルム(東京)は菊陽町の工場に半導体の液体研磨剤「CMPスラリー」の生産設備を導入し、24年1月に稼働させる。
TSMCの工場周辺に化学品の物流拠点や工場が相次いで進出するのは、24時間稼働する半導体工場に、いつでも供給できる体制を整える必要があるためだ。物流コストも削減する。精密部品である半導体は多くの化学品が使われており、進出企業がさらに増える可能性がある。
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