目の難病で視力を失った和歌山市職員山崎浩敬さん(60)のバス通勤を地元の和歌山大付属小学生が10年以上支えた実話を基にした絵本「バスが来ましたよ」(40ページ)が完成し、出版社「アリス館」(東京)から学校に3冊がプレゼントされた。山崎さんは20日、学校を訪ねて児童に手渡し、改めて感謝の気持ちを伝えた。(大田魁人)
山崎さんは1994年、次第に視力が低下する「網膜色素変性症」と診断された。バイク通勤が困難になり、2008年から一人でバス通勤を始めたが、和歌山大付属小の1人の女児が乗り降りを助けてくれるようになり、役割は自然と在校生に受け継がれた。14年に失明したが、児童の「優しさのバトン」が心を明るくしてくれた。
絵本の制作は、山崎さんと児童の心温まる交流を報じた昨年1月の読売新聞の記事を見た絵本作家の木村美幸さん(63)が発案した。昨年5月から何度も山崎さんを取材し、バスにも同乗。実話に基づいたフィクションを書き上げた。
山崎さんは20日、絵本の絵を描いた松本春野さん(38)らと一緒に学校を訪れた。現在バス通勤をサポートしている6年女児(11)と4年女児(9)と対面し、「いつもありがとう」と絵本を手渡した。2人は山崎さんのために読み上げ、絵を説明した。
6年女児は「絵本を読んで障害がある人を手助けする人が増えてほしい」と述べ、4年女児は「かわいい絵で優しい気持ちで作ってくれたのがわかった」と喜んでいた。
その後、松本さんが2人の教室を訪ね、クラスメートらに「絵本はみんなが登場人物の気持ちを想像して読んで、初めて完成するもの。大切に読んでほしい」と伝えた。
絵本は27日に発売。税込み1540円。7月3日には和歌山市松江のTSUTAYA WAYガーデンパーク和歌山店で木村さんと山崎さんのトークショーがある。同23日~8月31日には和歌山市民図書館で原画展を開催する。
山崎さんは「子どもたちの優しさが色んな人の心に残ってくれたらうれしい」と話している。
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