山陰中央テレビ
島根県松江市で続く大橋川の改修事業が、再開後10年となった今、街の中心部に廃墟のような更地が広がり新たな問題が出始めています。中心市街地での大規模公共事業を巡る現状を深層調査です。 松江市のくにびき大橋そばでは、30日も護岸整備が続いています。 国交省出雲河川事務所・原 啓一朗事業対策官: 「大橋川、上追子川の護岸工事です。最後の仕上げです」 1972年(昭和47年)7月、島根県東部に甚大な被害が出たいわゆる47豪雨を契機に、松江市などを水害の脅威から守るため斐伊川・神戸川治水事業がスタートしました。事業の要は川の上流にダムを、中流には放水路を建設し、下流の大橋川で川幅を広げるなどの改修を行う事で治水の3点セットと呼ばれ、ダムと放水路は完成しました。残る大橋川改修は一時の中断も経て2011年に再開、工事期間はおおむね20年の計画です。ただ折り返しの10年がすぎた今、新たな問題が見え始めています。 大橋川沿いにある松江市魚町で50年間、寿司屋を営む飯田純さんです。 初音寿し・飯田純店主 「次々と解体されてポツンと一軒家に今のところなった。それは寂しいですよね」 これは今週撮影した映像で、更地の中に飯田さんの店があります。このあたりは川幅を広げる工事の対象区域で用地買収によって建物の解体が進んでいます。飯田さんも今年秋には、今の店から40メートル程離れた場所に移転する予定です。 初音寿し・飯田 純さん: 「今までの店が一番ロケーション的にも良かったが、それに準ずる場所だからほっとしている気持ちはある」 しかしここに来て問題となってきたのが、この広がる更地。殺風景で、見様によってはゴーストタウンとも取れる状態が今後、数年にわたってそのまま放置される恐れがあることです。 国交省出雲河川事務所・原 啓一朗事業対策官: 「(地下の)埋蔵文化財調査が終わり次第工事に入る。調整協議が必要な関係機関・関係者が多いためなかなかペースアップができない」 建物の解体が進む一方で、その先の整備のタイムスケジュールは未だに明確にはなっていません。事業主体である国交省の説明は、財政状況や関係各所との調整などで時間がかかっていると曖昧です。 松江市大橋川治水事業推進課・井上 雅雄課長: 「バリケードを立てて囲んでいることもあって、いろんな市民の意見は松江市にも届いている。事業誘致のあり方は国と協議をしながら進めていきたい」 松江市も周辺の扱いに今の時点で具体的な計画はないとしています。ただ活用を模索する動きは市民の方から出始めています。 「カンパーイ」 訪れた人は: 「松江市内で焚火ってえ?って思ったがいいなと」 「せっかく空いているので何かあるのはいいなと」 ドリンクなどを片手に焚火を囲むイベントで、有志が週末を中心に開催しています。 イベント主催者のひとり梶田裕幹さん: 「この空地が、何年も大橋川改修が完成するまでそのままの空地で残っているのがもったいない気がした。今から未来の場づくりができればという思い」 水の都・松江を象徴する美しい景観がある区域での長期にわたる大規模公共事業。 工事着手までの間の景観保全対策が全く用意されていないのが実態です。こうした現状に、就任間もない松江市の上定市長は? 松江市・上定 昭仁市長: 「これからではあるが、有効利用を考えていかないといけないと考えているし、できるだけ早く賑わいを取り戻すような工夫を考えて参りたい」 人々が行き交う中心市街地での公共事業だからこそ「今を大切にして未来をつくる」新たな事業スタイルが求められようとしています。
からの記事と詳細 ( まるで廃墟のよう…完成までの景観に課題 松江・大橋川拡幅事業の進捗は 有志がイベントも(島根)(TSKさんいん中央テレビ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
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