画面を通じ生徒の質問に答える数馬嘉一郎社長＝七尾高で
七尾市の七尾高校で八日、一、二年生を対象にした「キャリア教育講演会」があり、卒業生で能登町宇出津の老舗酒蔵「数馬酒造」の数馬嘉一郎（かいちろう）社長（３４）がオンラインで講師を務めた。酒蔵の実績などを紹介しつつ、国連が提唱する持続可能な開発目標（ＳＤＧｓ（エスディージーズ））に沿った取り組みの大切さを伝えた。（稲垣達成）
数馬さんは、高校の同級生でもある農家らと連携し、耕作放棄地を再生した田んぼで原料の酒米を栽培していることを挙げ、「今では東京ドーム五個分の耕作放棄地の解消につながっている」と述べた。
経営を継いでから十年で、水やコメ、酵母にいたるまですべて能登の原料で酒を仕上げられるように。昨年は世界的なワイン品評会で金賞を受賞し、数馬さんは「能登の原材料が世界から評価してもらえた」と喜びを語った。
自身の高校生活も振り返り、「何でもいい。今は好きなことに没頭してほしい。あんなに熱中できたんだから、という経験は社会に出た後も生きる。成功より成長を優先するように心掛けて」と激励した。
文系フロンティアコース二年の土谷尊斗（つちたにみこと）さん（１７）は「ＳＤＧｓを分かりやすく説明してもらい、自分も意識を変えないといけないと感じた。人との出会い、つながりを大切に、読書にも励みたい」と語った。
講演は、県が二〇〇八年度から各高校で開催している「トップが語る石川の産業の魅力」と題した事業の一環。約三十人が参加した。
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