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Thursday, December 10, 2020

【バスストップ】横浜市営41系統(6)太尾堤 - カナロコ(神奈川新聞)

おじさん公園の30年

ベンチに座る銅像と、小学生の頃に映画の原作を手掛けた加藤さん=横浜市港北区の太尾堤緑道

 バス停から徒歩数分の太尾堤(ふとおづつみ)緑道(横浜市港北区)には、七つの野外彫刻(ちょうこく)がある。1989年に開かれた第1回横浜彫刻展の入賞作を翌年に設置し、散歩者の目を楽しませている。

 このうちベンチに座るサックス奏者の像「プリーズ・リクエスト」は彫刻家・黒川晃彦(あきひこ)さんの作品で、「見る人が隣(となり)に座ることで完成する」という参加型アート。ベンチに音楽家を配したシリーズはこれが第1作で、黒川さんの作品は今や、横浜から全国各地へと広がった。

 この銅像はまた、隣接(りんせつ)する市立太尾小学校の児童にも親しまれてきた。像がある広場は「おじさん公園」と呼ばれ、ここから新たに一人の“アーチスト”が生まれた。同小に在学していた加藤光さん(23)だ。

 川崎市内の複合映画館「チネッチッタ」が2007年、開業20周年を記念し、子どもから映画の原作を募集(ぼしゅう)。小4で創作好きだった加藤さんは、銅像を題材にした物語「おじさん公園のひみつ」を出品し、グランプリに輝いた。午後5時に動きだす銅像と小学生との交流を描(えが)いたファンタジーで、翌年に短編映画化され、「私立探偵濱(たんていはま)マイク」シリーズの林海象監督(かいぞうかんとく)がメガホンを執(と)り、俳優の佐野史郎(しろう)さんが銅像を演じた。加藤さんも脚本を手伝い、「多くの人が製作に関わる映画の内側を知った」と当時の感激を振り返る。同映画は昨年、区制80周年を記念した「港北ふるさと映像祭」で久々に地元上映された。

 「おじさん公園」の誕生から今年で30年、映画化からは12年が過ぎた。加藤さんは今春卒業した立教大学で職員として働く一方、個人でアニメ制作に励む。地元の児童には「小学生の頃(ころ)は誰(だれ)もがアイデアマン。思いついた事をメモしておくと、大人になって役立つかも」と提案している。

(小学校高学年向けに、難しい漢字にふりがなを振りました)
【2020年9月17日掲載】

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