マンション業界にはモデルルームという何とも不可思議なものがある。新築で分譲されるマンションを建物が完成する前に販売契約するために作られている。
「これと同じようなものができますよ」というアピールのためなのだが、合理的な存在根拠が乏しい。そこに置かれているインテリアなどは、現実の生活とはかけ離れたものばかりだ。モデルルームで演出されたような空間装飾の中で暮らす人などほとんどいない。
それでも、モデルルームを訪れた人はそこに新生活の夢を描く。そして、まだ建物ができてもいない物件の購入契約書にハンコを押すのだ。
私はかねがね、モデルルームというものはイリュージョン(幻想)だと書いてきた。モデルルームと同じタイプの住戸を買わない限り、ほとんど意味がない。インテリアデザイナーの作品を見せられているようなものである。
先日、地方に本社があるハウスメーカーの経営者と話をしていて、住宅展示場にある各住宅メーカーのモデルハウスも似たようなものだということを教えていただいた。
聞けば、住宅展示場というものは全国に約380カ所あるそうだ。1カ所に15から100棟が軒を並べているという。平均25棟にして、全国に約1万棟の展示用の住宅が建っていることになる。
これが最大限に長く使って4〜5年。普通は2〜3年で建て直される。普通に考えれば、もったいない話。
一度でも住宅展示場(ハウジングセンターといった名称が一般的)に行かれた方はお気づきだろう。ああいったところに建っている各住宅メーカーのモデルハウスは、世の中でよく建てられる家の2倍から3倍の床面積がある。だから、どこかに移築することはほぼ不可能。スクラップ&ビルドにするしかない。
展示場にあるモデルハウスもマンションのモデルルームと同じ。実際に自分たちが住む家とはかなりかけ離れたものだ。果たして、そういったものは本当に必要なのだろうか。
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先ごろ、ある新興不動産会社が時価総額で大手企業を何社も抜いて上位ランキングに食い込んできた、というニュースが話題を集めた。
その企業は、マンションの開発件数も多いのだが、あえてモデルルームは作らない。それでもほぼすべての開発物件を建物が完成するまでに完売させてきた。
つまり、新築マンションを販売するためにモデルルームというアイテムは、必ずしも必要ではないのである。
同様に、住宅展示場のモデルハウスも2〜3年に一度の割合で建て替える必要はないはずだ。資源の無駄遣いであり、余計なコストの掛け過ぎでもある。
新型コロナによって世の中のさまざまな無駄があぶり出されている。良い機会だから、モデルルームやモデルハウスなど住宅業界特有の過剰な接客アイテムをゼロベースから見直してみてはどうだろう。
榊淳司(さかき・あつし)
住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。
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