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Monday, May 18, 2020

社説(5/19):再処理工場「合格」/国民が納得する将来像示せ - 株式会社河北新報社

 核燃料の循環(サイクル)利用が円滑に行われない状況にあるのは明らかだ。このまま巨額の費用をかけて国策として進められるのか。国は国民が納得できる原子力政策の将来像を示すべきだ。

 青森県六ケ所村に日本原燃が建設している使用済み核燃料再処理工場が、原子力規制委員会の審査に事実上合格した。1993年の着工以来、四半世紀を経てようやく大きく前進した。原燃は2021年度上期の完工を目指しているが、今後も細かな審査が残るため本格稼働の時期は見通せない。

 再処理工場は全国の原発で出た使用済み核燃料を処理し、再び燃料として使う国の核燃料サイクル政策の中核施設。柱は、再処理し取り出したプルトニウムを高速増殖炉で再利用することだった。だが、研究段階の原型炉もんじゅ(福井県)は数々のトラブルの末、廃炉となった。

 プルトニウムの行き先は今のところ、ウランとの混合酸化物(MOX)燃料にして普通の原発で燃やすプルサーマル発電しかない。

 再処理工場は最大で年間800トンの燃料を処理し、約7トンのプルトニウムを抽出する。全量を消費するには原発16~18基でプルサーマル発電をする必要がある。国内の原発で導入したのは4基で、実際に稼働しているのは2基にすぎない。

 再処理工場がフル稼働しても、使うあてのないプルトニウムが増えていくことになる。過剰な保有は、国際社会から核兵器転用の懸念を持たれることにつながりかねない。

 再処理工場は1997年に完成する予定だったが、時期が技術上のトラブルや東日本大震災の影響で計24回も延期された。当初約7600億円だった建設費用は2兆9000億円に膨張した。完成後の運営費などを含めて事業費は13兆9400億円と見込まれている。一部は電気料金にも転嫁される。

 それでも国や電力会社には再処理事業を簡単にやめられない事情がある。

 もし中止になれば、各原発から受け入れて保管している使用済み燃料を、青森県が県外に搬出するよう求める可能性が高いからだ。

 原発には使用済み燃料がたまり続けている。その上に返却されれば、保管場所がなくなり運転を止めるしかなくなる。

 日本の原発事業は高レベル廃棄物の最終処分地が決まらないまま進められている。「トイレなきマンション」と批判されるゆえんだ。

 原子力発電や再処理事業を巡る環境は大きく変化した。米国や英国は核燃料サイクルから既に撤退している。

 国は新たな課題も踏まえ、サイクル政策の転換も視野に入れた原発事業全体の在り方を示す議論を早急に始めるべきだ。もう先送りは許されない。

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