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川崎フロンターレの中村憲剛が海外サッカーについて語る連載インタビュー「中村憲剛のMSN(マジで 好きなヤツ ノミネート)」。今回はチャンピオンズリーグ(CL)のラウンド16を前にし、趣向を変えた特別エンタメ企画。プレミアリーグで2位のマンチェスター・シティに25ポイント差をつけて首位を独走し、CLでも優勝候補の大本命であるリヴァプールに対抗するためのイレブン、そして戦術を中村憲剛が“監督”に扮して考える。迷いに迷った前編から、後編ではついにそのチームが完成する――。
■特別企画に頭を悩ます…
みなさん、こんにちは、中村憲剛です。今回も壮大なテーマに取り組んでみたいと思います。王者リヴァプールを倒すイレブンを探せ――その後編ですね。泣いても笑っても、ここで最終結論を下さなければなりません。また話があちらこちらへ飛ぶかもしれませんが、それも最短距離でゴールにたどり着くための道筋とご理解ください。では、さっそくいきましょう。
先に前回のおさらいから。布陣は中盤をダイヤモンド型に組んだ4-3-1-2、スタメンは中盤の底にカゼミロ、右にケヴィン・デ・ブライネ、左にブレーズ・マテュイディ。前編であれだけ話したのに確定したのはこれだけという……、4バックの人選は複数の候補者を選び、保留にしていました。まずはここから決めていきましょう。まず右サイドバックから。カイル・ウォーカーとヨシュア・キミッヒの二択で悩みましたが、デ・ブライネとのコンビネーションも踏まえて同僚のウォーカーを。ジョルディ・アルバとダビド・アラバの二択だった左の人選は……すみません! まだ保留にさせてください!
■メンバー決定へ
次にセンターバックを。候補者はセルヒオ・ラモス、ラファエル・ヴァラン、カリドゥ・クリバリ。リヴァプールのカウンターアタックを潰すために守備範囲が広く、一対一に強く、スピードもある3人ですね。右にS・ラモス、左をクリバリとしました。レアルのペアをそっくり使ったら、さすがに芸がないかと。クリバリを使えば空中戦でフィルジル・ファン・ダイクとも互角に渡り合えるでしょうから、セットプレーのところも考えて。
で、今回の本題とも言うべき前線のトライアングル選びへ。やっぱりリオネル・メッシは入れておきたい……けどどうかなぁ。個人的にはトップ下にはフレンキー・デ・ヨングを使いたいですね。彼はテクニックもあり、サッカーIQが高く、得点力もあります。それに加えて推進力を含めた運動能力が高くハードワークもできる新世代のトレンドを全て兼ね備えた選手です。最初はドニー・ファン・デ・ベーク(アヤックス)を考えましたが、人選の条件がCLベスト16に残ったクラブの選手から――ということなので。ただ、デ・ヨングもアヤックス育ち。複数のポジションをこなす戦術眼、対応力は十分かと。
そうなると、前線の枠はあと2つ。やはりメッシを――いや、どうかなぁ。リヴァプールとカンプ・ノウで戦うという設定なら使いたい。えっ、決勝で戦う場所の設定? そんなのあるんですか? で、中立地なんですか? うーん、また頭を悩ませるような設定にしますね(苦笑)。……ひとまずメッシの話は置いときましょう。2トップの一角に必ず使いたい候補者が3人います。ロベルト・レヴァンドフスキかルイス・スアレスかエディンソン・カバーニ。とにかく、ゴール前でのバトルを含め絶対的なストライカーを1人は使いたいので。前編で話したとおり、ザルツブルクに着想を得たチームなので、2トップの組み合わせはアーリング・ハーランドとファン・ヒチャンのイメージですから。言わば、惑星と衛星の関係ですね。
それはともかく、ここでメッシを入れるのが正解なのかどうか……。使わないとなればカウンターの急先鋒としてキリアン・ムバッペという選択肢も持っておきたいですね。ただ、守りがネックという意味ではメッシとあまり変わらないかと。ならば交代の切り札としてサブに回す手もアリでしょうか。メッシの守備の部分を補えるところまで見越して中盤の4人は攻守にハードワークできる人選にしたので、ここはやはりメッシにしましょう! そうなると、左サイドバックはアルバで……いや、セットプレーで左利きのキッカーが見当たらない。じゃあ、アラバのほうがいいのかなぁ。僅差の勝負になれば、セットプレーがモノを言いますからね。アラバの方がアルバに比べてですが高さがあるのでセットプレーの守備でも計算できますし。
左サイドバックにアラバなら、ストライカーはレヴァンドフスキでしょう。バイエルンのラインですね。もちろん、デ・ブライネからの高速クロス、平行クロスも難なく仕留めてくれるかと。当代随一の点取り屋ですから。ドルトムント時代にユルゲン・クロップの薫陶を受けて台頭した選手ですから、前線からのプレスもしっかりやってくれる――と期待しましょう。クロップも嫌かもしれないですね。対戦相手に自分をよく知るレヴァンドフスキがいたほうが。メッシとスアレスのペアも捨てがたいですが、今シーズンも得点を量産していますし、チームの主砲はレヴァンドフスキで。この人に点を取らせるというチーム設計です。
最後に守護神ですが、エデルソンかなぁ。あの精密なキックも生きるでしょうね、このメンバーなら。最前線に収まる場所もしっかりありますから。レヴァンドフスキに当てて、ライン裏にメッシが抜け出す、あるいはセカンドボールを拾って二次攻撃に転じる。そういうイメージですね。リヴァプールはセカンドボールの奪い合いに強いですが、こっちの中盤もタフですから十分に勝負できるかと。先にボールを奪ったらメッシへ。これだけのメンバーの中でも、違いを作り出す力は他の追随を許さないくらいずば抜けてますからね。メッシは。
■イレブン決定! 戦術は…?
このシステムの場合、攻撃時の幅の取り方がポイントですが、両サイドバックが幅を取るのはもちろん、右はデ・ブライネ、左はマテュイディがうまくポジションを取れるので、円滑にいくと思います。またトップ下のデ・ヨングと右インサイドハーフのデ・ブライネは臨機応変にポジションを入れ替えてもいい。両サイドバックがウォーカーとアラバなので4バックから3バックへの移行も自由自在。また中盤の選手もその変化に併せて立ち位置を変えて相手を困らせることができる面子なので、各々のポジショニングや役割といった点では柔軟かつ流動性に富んだチームかと。
戦い方にしてもポゼッションとカウンター、どちらもできるでしょうね。逆にボールを持たれても守れるかと。唯一の懸念はカウンター時に圧倒的なスピードが足りないところかな……純粋なスプリンターがいないので。守備時も、状況に応じてデ・ブライネとマテュイディが左右に開き、デ・ヨングを後方に下げてカゼミロと並べて中央を守れば「4+4」のラインでブロックを組めますからね。また、最終ラインにはスピードがあるので、カウンターアタックを狙われても十分に対応可能。分かりやすく言えば、全方位型のメンバー構成ですね。
もちろん、メッシがいるぶん、前線から圧力をかけるという点では不安もありますが、そこは縦横無尽のマテュイディに頑張ってもらいましょう。マテュイディこそ、このチームの隠れたキーパーソンですから。ただ、このチームのテーマはあくまでもテクニックとインテリジェンス。そこに身体能力と要所での高さを加えた格好ですね。何かが欠けているという選手はいないかと。これだけのメンバーの中でもメッシはアンタッチャブルな存在です。得点、チャンスメイク、起点、とにかく得点に絡んでほしいと思います。他の部分を下支えできるメンバーは揃えましたから。
で、取っておきのジョーカーにムバッペを。本当はウルブスの怪物アダマ・トラオレもサブに入れたかったですね。プレミアリーグでリヴァプールの守備陣が苦しめられていましたから。まぁ、ムバッペがいるので贅沢は言いません。でも、いったい誰に代えて出せばいいのか……。メッシはなかなか代えづらいなぁ。使うと決めたら監督は心中覚悟でしょう。ムバッペはまだ代えても大丈夫かなぁ。けど彼も最近、交代の件でトーマス・トゥヘル監督と揉めていましたね。改めて、監督って大変ですね……。
リヴァプールの守備陣にとって、メッシはもとより、ムバッペも怖いでしょう。異次元のスピードがありますからね。ロバートソンも彼のスピードを意識せざるを得ませんから、それが牽制になって、そうやすやすとは攻め上がれないかと。うーん、やっぱりムバッペかなぁ……いやいや、僕はメッシと心中を選びます。最後は理より情ですから。これですべて決まりましたね。
いや、もう、あれこれ考えすぎて頭がクラクラして疲れました(苦笑)。打倒リヴァプールで弱点を探るつもりが、いかにリヴァプールが素晴らしいチームかというのを同時に解説したことにもなりましたね……。みなさんも時間があったら考えてみてはどうですか? 決して、お薦めはしませんが(笑)。
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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です
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February 17, 2020 at 06:50PM
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