プリンテッド・ファームズは現在、厩舎、ホース・ウォーカー、肥料小屋を建設中で、総工費は330万ドルだという。
Printed Farms
- アメリカ、フロリダ州に拠点を置くプリンテッド・ファームズは、330万ドルの豪華な厩舎、ホース・ウォーカー、肥料小屋を3Dプリントで建設している。
- 2023年8月に完成すれば、この厩舎は3Dプリントで作られた建物としては世界最大のものになる。
- この建物は、「馬のディズニー・ワールド」と呼ばれるフロリダ州ウェリントンにあり、ここでは数百万ドルの貴重な馬を飼うことになるという。
まもなく登場する世界最大の3Dプリントの建築は、住宅でも学校でもオフィスでもない。2023年の夏、豪華な厩舎がフロリダ州のウェリントンに完成する予定だ。
3Dプリンター建設業界に詳しい人なら、スタートアップのプリンテッド・ファームズ(Printed Farms)が馬の施設を作ると決めたことが、思いつきのアイデアのように見えるかもしれない。結局のところ、3Dプリント技術を支持する人は、その主な利点のひとつを(馬ではなく人間のための)住宅危機を迅速に緩和できることだと考えているからだ。
だが、このスタートアップの創業者ジム・リッター(Jim Ritter)を知る者には、この取り組みが当然だと思えるだろう。この馬と関わりのあるプロジェクトは、リッターの会社と彼のこれまでの情熱との完璧なマリアージュなのだから。
建設技術の世界に飛び込む前、リッターはすでに数百万ドル(数億円)規模の厩舎(きゅうしゃ)を建設し、貸し出していた
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リッターは、2019年にプリンテッド・ファームズを設立した。2020年と2021年、このスタートアップはトラクター小屋や住宅などのプロジェクトを3Dプリントで作っている。
プリンテッド・ファームズは、現在、この豪華な厩舎が建設されているのと同じフロリダ州ウェリントンに拠点を置いている
Crystal Bolin Photography/Getty Images
ウェリントンは、フロリダ州ウェスト・パーム・ビーチから車で30分ほどにある裕福な郊外の町だ。リアルター・ドット・コム(Realtor.com)のデータによると、この地域の住宅価格の中央値はほぼ100万ドル(約1億4000万円)。
馬術に詳しくない人はウェリントンのことをよく知らないかもしれない
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だが、もし馬術に詳しいならば、この小さな町の華やかな馬にまつわる評判を知っているかもしれない。リッターが言うように、「ウェリントンは、馬術のディズニー・ワールド(Disney World)」なのだ。
そこに集うのは並の馬や馬術選手ではない
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「ほとんどの馬術関係者は、ウェリントンのレベルには達していない」と彼は話す。
「馬術競技の最高峰だ」
プリンテッド・ファームズが現在この一等地に建設中の大型施設には、厩舎、ホース・ウォーカー(馬のウォーキングマシン)、肥料小屋の3つの建物が含まれている
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厩舎の広さは1万678平方フィート(約300坪)。これは、現在世界最大の3Dプリント建造物である6900平方フィート(約194坪)のドバイ市の行政ビルを上回る。
これらの3つの建物の総工費は330万ドル(約4億6600万円)だ
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高価な馬小屋に見合うような高価な馬がなければ、ウェリントンとは言えない。
この厩舎が完成すれば、典型的なウェリントン価格の貴重な馬が飼われることになるだろう
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ここに200万ドル(約2億8000万円)から1200万ドル(約17億円)の馬がいることを考えてみてほしい。
「これらの馬は何百万ドル(何億円)もするオリンピックレベルの馬だ。トタンの小屋に入れておいてはダメなんだ」
新しい厩舎では、これらの高級馬はほとんどの人が夢見るような設備を利用することになる
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「歯科医の診察、4週間ごとの新しい蹄鉄、カイロプラクティック、鍼灸、25万ドル(約3500万円)の円形のホースウォーカーなどのアメニティを想像してほしい」とリッターは言う。
だが、最終目的は世界最大の3Dプリントの建築物を造ることではなかった
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「たまたまそうなっただけだ。まったく見当もつかないことだった」
プリンテッド・ファームズは厩舎の建設に デンマークの建設技術会社COBODのBOD2プリンターを使用している
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COBODのシステムは、自社製プリンターを持たない企業にとっては頼りになるプリンターだ。
BOD2の仕事はすでに完了している
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今回のプロジェクトでは、高さ13フィート(約4m)の壁面だけが作られた。残っている作業は、配管、造園周りの土、漆喰塗りなどの仕上げだ。
プリンテッド・ファームズは建設の過程でいくつかの問題に直面した。そのほとんどは同社にはコントロールできないものだった
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リッターは当初、COBODを補うために別のプリンターを注文した。しかし、このプリンターは9カ月遅れで到着し、建築に時間がかかってしまった。そんな折、ハリケーンシーズンがやってきた。その他、インフレやセメントの供給難により、建設計画はさらに遅れた。
この一連の不運によって2、3カ月の建築予定が9カ月かかってしまったという
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また、彼の4人から7人のスタッフのうち2人が、健康問題のために突然働けなくなった。
3Dプリンターの建築の支持者たちは、この技術によって、より少ない材料と労力で、より安く、より早く、より安全に家を建てることができると確信している
CPH-3D
しかし、3Dプリンターはまだ建設現場で広く使われていないため、価格の引き下げはそれほど大きいものになっていない。
この豪華な厩舎プロジェクトでは、3Dプリンターを使用することで多少の費用を節約できた
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リッターによると、このスタイルの厩舎を建設している従来の建設業者であれば、1平方フィート(約0.03坪)あたり200ドル(約2万8000円)から250ドル(3万5000円)の費用を請求していただろうという。
リッターのチームは1平方フィート(約0.03坪)あたり約200ドル(約2万8000円)を請求したが、この金額は安いと彼は言う。「なぜなら、たいていの業者は250ドル(3万5000円)を請求するはずだから」
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この建物は洪水やハリケーンに、「ほぼ」耐性があるいう。セメント屋根にしていれば完全に耐久性があったかもしれないが、買い手はセメント屋根の代わりに屋根はトラス構造を選んだという。
コンクリート構造と、従来の構造と比較してより高レベルの耐久性によって、この新技術の建設と投資には、リスクを負う価値があると考えらえる
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「気候変動に耐えられるコンクリート製の建物を手に入れ、そのような事態が起きた後に建て直す必要がないのなら、なぜ、そこにお金を使わないのか」とリッターは言う。
リッターは、このコンクリート素材は耐久性に優れているため、馬たちは3Dプリントで作られたこの厩舎でこれから一生過ごすことになるだろうと話している。
からの記事と詳細 ( 世界最大の3Dプリント建造物がまもなく完成…それは五輪レベルの ... - Business Insider Japan )
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