ことし3月に亡くなった坂本龍一さんが作曲した最後の曲が完成したことが関係者への取材で分かりました。
ことしの春、徳島県に開校した起業家の育成を目指す高等専門学校の校歌で、近く学生たちに披露される予定です。
ことし3月、71歳で亡くなった世界的な音楽家の坂本龍一さんはがんと闘病しながら音楽活動を続け、生前に起業家の育成を目指す徳島県の私立の高等専門学校、「神山まるごと高専」の校歌を作曲していました。
校歌は完成には至らず、ことし4月に開校した高専の入学式では、制作途中の音源と歌手のUAさんによる歌詞が新入生と出席者だけに特別に披露されていましたが、その後、編曲家に制作が引き継がれて完成したことが関係者への取材で分かりました。
関係者によりますと、今回の校歌は坂本さん側と高専が本人の体調を考慮した上で話し合いを重ねて制作が進められていたもので、坂本さんが亡くなる直前まで制作していた曲の中でも最後の時期に作られたということです。
校歌は一部に英語の歌詞を交えながら、起業家を目指して徳島や東京など各地から集まった10代の学生たちを勇気づける内容になっていて、近くUAさんが高専を訪れ、学生たちに校歌を披露する機会が設けられる予定です。
徳島県神山町にある「神山まるごと高専」は起業家の育成を目指す全国でも珍しい高等専門学校で、町にサテライトオフィスを設けた東京のIT企業の社長らが設立しことし春に開校しました。
1期生として徳島や東京などからおよそ9倍の倍率を突破した44人が入学しました。
学生たちは人口5000人足らずの山あいの町にある寮で生活し、プログラミングやデザインなど起業に必要な技能を学ぶほか、現役の経営者などから起業の経験をじかに聞くことができる特別授業も設けているのが特徴で5年間を過ごした卒業生の4割が起業することを目標に掲げています。
家庭の経済状況にかかわらず学べるよう学費の無償化に向けた100億円規模の基金も設立し、ソフトバンクやソニーグループが資金を拠出するなど、経済界からも注目されています。
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