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Monday, April 24, 2023

超多忙なGoogle社員が実践する体と心に効くエクササイズ。たった3分で ... - パラサポWEB

Googleと言えば、世界有数のIT企業。風通しが良く、働き甲斐、仕事の満足度が高いことでも知られるが、社内にジムが設けられ、従業員の健康促進に貢献していることも、その理由のひとつかもしれない。そんなGoogle本社で、社員のフィットネスレッスンを担当していたSaya氏が考案したのが“globody(グローボディ)”というピラティスをベースにしたエクササイズ。超多忙なビジネスマン向けだから、1つのプログラムに要する時間はわずか3分。短時間で効率よくが重要ポイントなのだ。果たしてそれは、どんなエクササイズなのか、ご紹介しよう。

短時間で少しキツいけれど、“自分にもできた!”という達成感がある

©Shutterstock

健康経営という言葉をご存じだろうか。企業が従業員の健康管理を重要な課題のひとつと捉えて、健康状態をより良くするように投資することだ。それがひいては業績アップにつながるとして、日本でも重視している企業が増えつつある。米国、シリコンバレーにあるGoogleも、従業員の健康管理に配慮している企業のひとつ。Saya氏は人気の講師のひとりだった。

「Google本社にはジムがあって、いろいろなエクササイズレッスンが行われています。従業員は好きな時間にやってきて、好きなレッスンを受けられるのですが、参加人数が少ないレッスンは、人があまり集まらない時間帯にされてしまいます。そのため、ひとりでも多くの人に気に入ってもらうにはどうしたらいいか。社員の意見を聞いたり、様子を観察したりしながら、工夫を重ねました」

それまでSaya氏は、ジムや個人レッスンでピラティスを中心に指導していた。ピラティスは、元々はドイツ人看護師が、第一次世界大戦で負傷した兵士のリハビリのために開発したエクササイズ。体幹を安定させながら体を鍛える動きが中心なので、全身運動としてはどうしても物足りなさがあった。

「脂肪は最大心拍数の40~60%くらいの心拍で一番燃えると言われています。ですから私のレッスンでは、ピラティスをベースにしながら、手足を鍛える動きと心拍数の上がる有酸素運動の要素を加え、ボディメイク効果をより高めるように組み立てました」

忙しいGoogle本社の従業員から話を聞くと、次の3つのニーズが見えてきたのだという。

1.短時間で効果を実感できる(即効性)
2.チャレンジできる(達成感)
3.心も体も前向きになれる(自己肯定感

つまり、短時間で少しキツいけれど、挑戦してみると“自分にもできた!”という達成感が味わえるエクササイズ。それがこのglobodyなのだ。

準備運動からストレッチまで3分で完成するから誰でもはじめやすい

本当に3分で効果があるのか。まず手始めとして気持ちをポジティブにするエクササイズ“ニードライブ”に挑戦してみよう。体幹の筋肉でバランスを取りながら、手足を大きく動かす全身運動だ。

【ニードライブ】

1.セットアップ
片脚を一歩前に出してひざを曲げ、反対側の脚はうしろに伸ばしてかかとを上げる。頭から足まで一直線になるように体を斜めに倒し、両腕をまっすぐ上げる。

2.ファットバーン
息を吐きながら両ひじをうしろに引き、同時にうしろの脚のひざを胸に引き寄せたら、セットアップの姿勢に戻る。リズミカルに10回繰り返す。

3.パルシング
両腕を上げ、前の脚のひざを曲げて状態を45度、前に倒した姿勢をキープしながら、うしろの脚のひざを床に近づけるように下ろす。ひざを20回上下に小さく動かす。

4.ホールド
セットアップの姿勢に戻り、うしろの脚と両腕を遠くに伸ばし、腕と脚で引っ張り合うように背面を伸ばして10秒ホールド。

5.ストレッチ
片脚のひざを曲げ、同じ側の手で足の甲をつかみ、かかとをお尻に近づけて股関節から前ももにかけて10秒伸ばす。ぐらつく場合は壁やイスの背に手をついて行って。反対側も同様に。

このニードライブというエクササイズは、試して見ればわかるが、3分程度しかかからない。なのに、意外と体に効く。普段あまり体を動かす機会がない人だと、大きな動きの“ファットバーン”でバランスを崩したり、息が上がったりしてしまうのではないだろうか。

「筋肉を集中して動かす前に、“セットアップ”で正しい姿勢をつくり、使いたい筋肉に効かせられるよう準備します。そして“ファットバーン”で手足を大きく動かして可動域を広げ、脂肪燃焼を促し、小さな動きの“パルシング”でインナーマッスルを刺激します。ホールドは体の一部がキツく感じるところでキープして筋力アップに繋げ、ストレッチで使った筋肉の疲れをリセット。この5つのステップで完成するのですが、一見簡単に思えて、なんか自分でもできそうと感じることが大切だと思います。ニードライブは、アスリートの方でもキツイと言う方が多いですから、ちょっとぐらいできなくても諦めず、毎日1つずつでもいいので続けていくことで効果が得られると思います」

Saya氏が言うように、なんかできそうと思ってやってみると、意外にキツイ。それは、Googleのレッスンに出席する人たちの反応を見て考えたポイントだ。

「ピラティスだと、ちょっと簡単に思えたのか達成感が得られない様子でした。みなさんが適度な強度を求めていることが分かったので、ある程度キツさもあって、やり遂げれば達成感が味わえるエクササイズを考えていきました。参加者は、レッスンが終わったら着替えて仕事に復帰するんですが、シャワーを浴びる時間はないので、凄く汗だくになっても困ります。心も体も気持ちよくなって、その後の仕事の効率がアップするようなエクササイズを作るため、試行錯誤しました」

自分の体の先生は自分自身。体との信頼関係を深めるのがglobodyのエクササイズ

©Shutterstock

Saya氏の考案したglobodyを詳しく解説した著書『シリコンバレー式globodyフィットネス』(講談社刊)には、このニードライブをはじめとして、部位別のエクササイズや隙間時間を利用して行えるプログラムが21種類掲載されている。しかも、各エクササイズにはQRコードがついていてアクセスするとSaya氏の指導動画を視聴することができる。

上で紹介したニードライブは、どちらかといえば集中力を高め、交感神経を上げる動きなので午前中や昼食後などがおすすめだそう。寝る前に自律神経を調え一日の疲れをとって深い眠りにつけるエクササイズ“バックリリース”を最後にご紹介しよう。

【バックリリース】

1.セットアップ
仰向けになり、片ひざを曲げ、反対側の手で胸に引き寄せる。もう片方の伸ばした脚は力を抜いてリラックス。

2.大きな動き
息を吐きながら、曲げたひざをゆっくりと反対側に倒し、手で曲げた膝の外側を軽く押す。息を吸いながら、ひざをゆっくり元の位置に戻す。呼吸に合わせて10回行う。

3.パルシング
曲げたひざを両手で抱え、胸のほうへ小さく20回引き寄せる。肩や脚の力を抜いて、股関節をほぐすようなイメージで行って。

4.ホールド
曲げた脚を天井に向けて伸ばし、両手で太ももの裏を支えて、脚の裏側が伸びたところで10秒ホールド。

5.リラックス
あお向けになり、手足を投げ出すように力を抜いて、ゆっくりと自然呼吸を続ける。好きなだけ続けて、そのまま眠ってしまっても。

globodyは、この“バックリリース”のように、体はもちろんメンタルにも効くのが特徴だ。

「本では、好きなエクササイズ2、3個を1日に2回ぐらいやってくださいとご案内してますが、それが難しい方は1日に1つでもいいと思ってます。朝起きてニードライブをやって交感神経を起こし、余裕があって元気があれば、午後にもう1つ。気持ちいいと感じることができたら徐々に増やしていって、気が付いたら3つぐらいの動きを一遍にやって10分間動けることができていたというのが理想です。

globodyのレッスンでは「自分の体の先生は自分自身です」とお伝えしています。自分の体を一番理解しているのは自分ですから。自分と体との関係は人間関係と同じで、エクササイズを自分の体との約束事と思えば、ひとつずつできるようになっていくことが信頼関係を深めることにつながります。自分との約束事を守れたら、それが自信になって信頼関係も強くなる。人間関係と一緒で、やっぱり相手にお願いしたことを相手がちゃんと返事をしてくれると信頼関係が深まってきますよね。エクササイズもそれがすごく大切だなと思います」


体どころか心に効くエクササイズglobody。一見簡単に思えたニードライブが実はキツイことを筆者も身をもって体感した。しかし、その後の爽快感、達成感は並ならぬものがあるのも事実。「今までレッスンを受けた人たちの中で特に変化があって印象に残っている人は?」と尋ねると、取材に同席してくれた『シリコンバレー式globodyフィットネス』の編集者が「自分がそうだった」と語ってくれた。知り合いに紹介されて会社でレッスンを受けたところ、滝のような汗と共に充実感を得られ、それからすっかりハマってしまったのだそうだ。そうしたglobodyのメンタル面での効用について、またSaya氏がレッスンを受ける人に記入してもらっている“体づくりの地図”に関しては、次回ご紹介する予定だ。

PROFILE Saya(サヤ)
1976年セネガル生まれ。アメリカで幼少期を過ごし、13歳で日本に帰国。青山学院大学を卒業後、単身渡米。38歳でフィットネストレーナーに転身。アメリカ・シリコンバレーを拠点に、Google本社のエグゼクティブトレーナーとして活動。その他、Apple、テスラなど最先端企業の幹部などをクライアントに持つ。超多忙なビジネスパーソンを指導していく中で、短時間で効率よく理想のボディをつくるフィットネスプログラム「globody(グローボディ)」を考案。現在は日本に一時帰国し、企業や一般の人向けにglobodyの指導をしている。
PMA(ピラティスメソッドアライアンス)、ACE Health Coach(アメリカ運動協議会ヘルスコーチ)、全米ヨガアライアンスRYT200の資格を持つ。2児の母。


<参考図書>
Saya著『シリコンバレー式globodyフィットネス』

(講談社)
Google、Apple、テスラのエグゼクティブたちが絶賛! ピラティスをベースにし、筋トレと有酸素運動を融合させた“結果を出せる”最新エクササイズを大公開。1つのプログラムに要する時間は約3分。1日に1つ行うだけでもOK。場所もとらず、道具も必要ないので今日からすぐにでも始められる、時間がないすべての人に送るエクササイズレッスンのすべて。

text by Reiko Sadaie(Parasapo Lab)
photo by Yuichi Iwaya(vale.), Shutterstock

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