今回の衆院選は各党が現金給付や減税を競うように訴え、財務省の事務次官が月刊誌に「バラマキ合戦」と寄稿する異例の事態となりました。各党の公約を見渡すと、コロナ禍とはいえ確かに財政再建への配慮が乏しい内容に見えます。旧大蔵官僚から政治学者に転身した政策研究大学院大教授の竹中治堅(はるかた)さんは、負担増に触れない「甘い公約」について「国民へのリスペクトが足りないのでは」と指摘します。
――多くの政党が衆院選で現金給付や消費税の減税を掲げています。
コロナ禍で経済が傷み、生活に打撃を受けている人々がいるなかで、何らかの対応をとることは必要です。ただ、私は減税ではなく、現金給付のような形が望ましいと考えます。
減税で対応すると、いったん税率を下げた後、また上げる際に国民の理解を得るのが非常に大変です。
特に消費税を下げた場合、子育て支援を含む社会保障の財源が不足する懸念があります。例えばマンションを買う場合の消費税も減額されると、高額所得者に恩恵が大きくなってしまいます。
――岸田文雄首相(自民党総裁)は今月8日の所信表明演説で「経済あっての財政であり、順番を間違えてはなりません」と表明しました。自民党の公約を見ても、財政再建の記述が乏しい状態にあります。
当面は財政出動はせざるを得ないでしょう。ただ、財源論についてもう少し、考えてもらいたいですね。景気が回復した後にどうするのか。公約に財政再建への目配りが足りていないと思います。
東日本大震災の復興財源はよくできていました。当時の民主党政権は財政問題を真面目に考えていて、将来世代にツケを回すまいと、長期間にわたる増税を決めました。コロナ禍への対応も、例えば経済の回復後に薄く広く所得税を上乗せするといった考え方もあります。
――財務省の矢野康治事務次官が月刊誌「文芸春秋」に「バラマキ合戦」と寄稿しました。
矢野次官の主張は理解できま…
からの記事と詳細 ( バラマキ合戦の衆院選公約、「特にひどいのは…」 隠れた争点は何か [2021衆院選] - 朝日新聞デジタル )
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