
米国でのアジア系住民に対する差別の広がりを知ろうと、アメリカの新聞やテレビ報道に当たっていたら、『Minor Feelings(マイナー・フィーリングズ)』という本に行きついた。それを書いた韓国系アメリカ人の女性で詩人のキャシー・パク・ホンさんの、突き刺さるような率直な物言いに目をみはったからだ。
今年3月に全米批評家賞を受け、テレビドラマ化も決まったこの本のタイトルについて、著者はインタビュアーでこう答えている。以下は 2021年3月17日に配信された米国のデジタルメディア「VOX」でのジャーナリスト、アレクサ・リー氏の問いに対する答えだ。 「『マイナー・フィーリングズ』は私の中にある意識を、私自身が知るために考えだした割と緩い言葉です。それはマイクロ・アグレッションと同じではない。もっと大きなものです」 ここで言うマイクロ・アグレッションとは、1970年にアメリカの精神医学者、チェスター・ピアス氏が提唱した、語り手に意図があろうがなかろうが、マイノリティーに向けられた言葉の中にある偏見や差別、侮辱、否定的な意味合いを指す。パク・ホン氏の言うマイナー・フィーリングズはこのマイクロ・アグレッションとは違うそうだ。 「例えば私の両親は朝鮮戦争を経てこの国に来ましたが、誰もそんな史実を知らないし気にもとめない、理解しようさえしない。マイナー・フィーリングズとは、そういった自分の現実、歴史が完全に無視された状態とも言えます」 彼女がこの本で自分の感情をあえて吐露した動機はこうだ。 「あくまでも自分を慰めるため。私が物を書くのは、いい思いをしている人を苦しませ、苦しんでいる人々を慰めるためだ。私たちアジア系はその両方であって、単なる加害者や被害者ではない。私たちはその間のどこかにいるのです」。だから、差別する側にもいる彼女は「いつも自分の中にあるレイシズムをチェックしています」。 彼女が書いたことを吟味せずに批判する声もある。 「あるアジア系アメリカ人を研究する大学教授は、私の本を読まずに、あなたが書いている事は少し古くさいと私に言いました。その教授は「アジア系はもうマイノリティーじゃない」と言いたそうでした。こういう人がいるから、私はこの本をあえて書いた。アジア系の目を覚まさせ、コミュニティーとして集まり、この国での自分たちの居場所について声を上げさせるため」 米国にいる日系、中国系、韓国系がそうであるように、常にばらばらだったアジア系の集団が連帯し、アジア系に対する差別と闘わねばならない。パク・ホン氏は発言の機会があるたびにそう語っている。
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