米中西部ミネソタ州ミネアポリスで昨年5月、黒人男性のジョージ・フロイドさん(当時46歳)が白人警察官に首を押さえつけられ死亡した事件で、殺人罪などに問われた元警察官、デレク・ショービン被告(45)の公判の実質審理が29日、地元の裁判所で始まった。市民から選ばれた陪審員が有罪か無罪かの評決を下す。事件を契機に黒人差別への抗議運動が全米で高まった。注目度は高く、テレビでも生中継された。
この日は検察側、弁護側の冒頭陳述などがあり、通行人が撮影した現場のビデオ映像が法廷で流れた。被告が膝で首を押さえつけていた時間は8分46秒とされていたが、検察官は実際には9分29秒だと説明。フロイドさんは27回にわたって「息ができない」と訴えたと強調した。また、監視カメラで見ていた警察の通信指令の女性が証言し、「何かおかしい」と異変を感じて上司に報告したと明かした。
主な争点は死因だ。検察官は、フロイドさんが気絶した後も被告は4分44秒も首を押さえ続けたと指摘。同僚が「脈がない」と指摘しても聞き入れず、過剰な力の行使による窒息が「実質的な死因だ」と主張した。弁護人は、首の圧迫による窒息の証拠はなく、死因は高血圧や薬物使用によるものとして無罪を主張。大柄のフロイドさんを制圧するには「最大限の技術」を使う必要があり、被告の行為は「合理的だ」と訴えた。
米国では、警察官が職務中に黒人を死亡させても訴追される事例は少ない。刑事裁判になっても無罪になったり、有罪でも罪が軽くなったりすることが多い。記者会見した遺族の代理人弁護士は「あの拷問ビデオを見れば(殺人罪での有罪は)難しいケースではない。我々は特別なことを求めているわけではなく、法の下の平等な正義を求めているだけだ」と述べた。
事件は昨年5月25日、偽札を使った疑いがあるとの通報で被告らがフロイドさんを拘束しようとした際に起きた。保釈中の被告はグレーのスーツ姿。淡々とした表情で冒頭陳述や証言の内容を細かくメモしていた。現場で制止しなかったなどとして元警察官3人も起訴され、8月に公判が始まる。【ニューヨーク隅俊之】
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