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Friday, January 1, 2021

経済産業省『カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』〜電気自動車の役割とは? - EVsmartブログ

電気自動車シフトはニューノーマルのはじめの一歩

例年に比べて静かなクリスマスとなった2020年12月25日、経済産業賞が『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』を策定したことを発表しました。10月に菅首相が「2050年カーボンニュートラル」を宣言したことを受け、温暖化対応を経済成長の制約やコストとする時代は終わり、国際的にも、成長の機会と捉える時代に突入していると位置付け、経済と環境の好循環」を作っていく産業政策、つまり「グリーン成長戦略」を示したものです。

ただし、並大抵の努力では実行することは困難であり、産業界には、これまでのビジネスモデルや戦略を根本的に変えていく必要がある企業が数多く存在していることを指摘。新しい時代をリードしていくチャンスの中、大胆な投資をし、イノベーションを起こすといった民間企業の前向きな挑戦を、全力で応援するのが政府の役割であるとしています。

※写真をクリックすると拡大します。

このイラストは、経済産業省のウェブサイトで「カーボンニュートラルの産業イメージ」として公開されているものです。脱炭素社会の実現に向けて、電気自動車へのシフトはひとつのピースでしかないことがわかります。でも、そうしたひとつひとつのピースが着実に組み合わさっていかないと、脱炭素社会が完成することはありません。

新型コロナ禍で「ニューノーマル=新たな当たり前」時代というキーワードが注目されました。カーボンニュートラルの産業イメージのイラストが描き出しているのは、まさにニューノーマルな社会の構造です。わたしたちは、新型コロナウィルスに遭遇する以前から、脱炭素社会への変革という「ニューノーマル」への対応を突きつけられていたわけです。

EVsmartブログでは、というか私は、電気自動車シフトに賛同し、電気自動車にまつわる正しい情報を発信すべく日々の記事を積み重ねています。しばしば、電気自動車シフトへの反対意見や、急ぎすぎるべきではないといった意見をいただくことがありますが、モビリティの電動化はカーボンニュートラルに向けた世界の動きの中で、技術的にも実用化が確立された重要なピースになっていることは間違いありません。

電気自動車シフトは、脱炭素社会のニューノーマル実現のための「はじめの一歩」といえるでしょう。だからこそ、世界の市場を席巻できる魅力的な電気自動車を生み出すために「新しい時代をリードしていくチャンスの中、大胆な投資をし、イノベーションを起こすといった自動車メーカーの前向きな挑戦」を、全力で応援したいと考えています。

生活者であるわたしたちの選択

生活者であるわたしたちには、何ができるのでしょうか。

『カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』では、具体的に以下の14の産業を重要分野として挙げています。詳細については、PDFファイルへのリンクを貼っておきますのでご参照ください。

●洋上風力産業
●燃料アンモニア産業
●水素産業
●原子力産業
●自動車・蓄電池産業
●半導体・情報通信産業
●船舶産業
●物流・人流・土木インフラ産業
●食料・農林水産業
●航空機産業
●カーボンリサイクル産業
●住宅・建築物産業/次世代型太陽光産業
●資源循環関連産業
●ライフスタイル関連産業

【関連ページ】
2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を策定しました(経済産業省)
2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(PDFファイル)

社会人であれば、誰一人「関係ないよ」とは言えないくらい、多岐にわたる産業が列記されています。つまり、『カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』は、国として総力戦なんですね。

生活者として考えると、「自動車」や「住宅」といったあたりの産業では、ユーザーであるわたしたちの選択がとくに大きな意味をもつこともわかります。多くのユーザーが「こんな電気自動車が欲しい!」という声を自動車メーカーに届けることが「自動車メーカーの前向きな挑戦」を後押しする力になると思うからです。

自動車は、電動化を推進する

EVsmartブログとして注目したいのは、やはり自動車産業です。重要分野における「実行計画」として示されている内容を確認してみました。

自動車・蓄電池産業の項目では、冒頭に「自動車は、電動化を推進する」と明記。「遅くとも2030年代半ばまでに、乗用車新車販売で電動車100%を実現できるよう、包括的な措置を講じる。商用車についても、乗用車に準じて 2021 年夏までに検討を進める」とされています。

ただし、100%とする「電動車」は「電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車」であり、ガソリンだけを燃料とするハイブリッド車も含まれているのが気がかりな点ではあります。自動車メーカーが日本では許容されるハイブリッド車を重視して電気自動車や蓄電池開発が後手に回ると、より明確に電気自動車シフトを進める世界の市場で競争力を失いかねないことを危惧するからです。

日本の自動車メーカーには、一日も早く、一車種でも多く、多くの生活者が無理なく買えて楽しく使える魅力的な電気自動車を開発、発売して欲しいと願います。

自動車の電動化推進に向けて、具体的な取組のプランが明示されています。

●電動車・インフラの導入拡大
燃費規制の活用、公共調達の推進、充電インフラ拡充、導入支援や買換え促進等に取り組む。

●電池・燃料電池・モータ等の電動車関連技術・サプライチェーン・バリューチェーン強化
大規模投資支援、技術開発・実証や軽自動車・商用車等の電動化支援、中小企業等のサプライヤーの事業転換とそれを支えるデジタル開発基盤の構築の支援検討、自動車ディーラーをはじめとした地域の自動車関連産業の電動化対応・事業転換支援検討等に取り組む。また、脱炭素電力の購入の円滑化を進めるため、需要家の利便性向上に向け、非化石価値取引市場などの制度の在り方の検討を進める。

●車の使い方の変革
ユーザーによる電動車の選択・利用の促進に加え、持続可能な移動サービス、物流の効率化・生産性向上を実現するべく、自動走行・デジタル技術の活用や道路・都市インフラとの連携に取り組む。

カーボンニュートラル実現に向けた「ひとつのピース」でしかない電気自動車シフトだけでも、さまざまな施策が必要であることがわかります。

ことに「充電インフラ拡充」については、EVsmartブログも先走った電気自動車ユーザーによるメディアとして提言したいことがあるので、改めて別記事でまとめてみたいと思います。

また「車の使い方の変革」という取組も、本格的な電気自動車シフトを考えるときには大切なポイントになってくるでしょう。イーロン・マスクには「なに寝言いってるの?」と鼻で笑われそうですが、大容量電池を搭載してエンジン車の利便性を置き換えること(航続距離を伸ばす)だけが、電気自動車の正解ではない、と個人的に考えています。電池容量が小さくて航続距離が短い、でも無理なく新車が買える価格の電気自動車を、どのように生活の中で活用するか。さらにマイカーの使い方をどう変えていくかといったライフスタイル変革が、本格的な電気自動車シフト実現には重要な意味をもつのではないかと思うのです。

あ、遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。

2021年も、EVsmartブログは世界の電気自動車シフトを応援し、わかりやすい情報発信を続けていく覚悟です。今年もますますご愛読ください!

(文/寄本 好則)

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