ワンマン・ワンエンジン時代の、紛れもないAMG
現在のメルセデスAMGは、究極のパフォーマンスをカスタマーに提供するための、スポーツ・ブランドとして独自のモデルを開発、生産するメーカーとして存在している。
しかしもともとの、すなわちメルセデスという冠が付される以前の独立したAMGは、メルセデス・ベンツのプロダクション・モデルをベースにチューニング・カーを仕立てあげるチューナーであり、またレーシング・コンストラクターだった。
今回はその時代のモデル、しかも現在においても多くのマニアが探して止まないモデルが、RMサザビーズのロンドン・オークションに出品されたので、ここで紹介することにしよう。
●1996 メルセデス・ベンツ「SL70AMG」
出品車は、1996年式の「SL70AMG」である。
この時代はAMGのブランド名はあくまでも車名の最後に付されることになっており、ここからもメルセデス・ベンツとAMG、そしてAMGというブランドの成り立ちが想像できる。
アズライト・ブルーメタリックのボディカラーに、オーバーグレーレザーというインテリアカラーの組み合わせは、当時日本のAMGファンにも圧倒的な人気を誇った定番ともいえるカラーだ。
しかし、それもそのはずで、この個体は日本からイギリスへと輸出され、今回のオークションに出品されたモデルであった。
ちなみに当時、このモデルのベースとなった「SL600」の価格は、ロールス・ロイス「シルバースピリット」より、5%安かったのみ。SL70が非常に珍しく、また富の象徴であったことは想像に難くない。
参考までに当時のAMGが、フロントに搭載する7リッターのV型12気筒エンジンのチューニングのために、カスタマーに発行した請求書は約5万ユーロ(当時の邦貨換算でおよそ700万円ほど)であった。SL600の車両価格と合わせると少なく見積もっても2300万円オーバーであったことは間違いないだろう。当時のフェラーリのフラッグシップとほぼ同額のプライスであった。
その金額は高額すぎるとも考えられるが、AMGのポリシーである、「ワンマン・ワンエンジン」、すなわちひとりの職人が最初から最後までエンジンの組み立てをおこなう完全ハンドメイドで完成することを考えれば、けして高くはない額ともいえる。
からの記事と詳細 ( フェラーリと同じくらい高価だった! AMGチューナー時代の遺産「SL70AMG」とは? | VAGUE | ヴァーグ - くるまのニュース )
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