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Thursday, November 12, 2020

東京ドーム7個分! 巨大データセンターを千葉に建設、大和ハウスの狙い - ITmedia

 総敷地面積が23万5000平方メートル、総延べ床面積が約33万平方メートル――大和ハウス工業は10月から、千葉県印西市の「千葉ニュータウン」内で巨大なデータセンターの建設を進めている。総延べ床面積は東京ドーム約7個分に相当し、日本トップクラスの規模になる見込みだ。

photo 大和ハウス工業が巨大なデータセンターを建設しているエリア

 工事は段階的に進めていて、全ての建物が完成するのは2030年の予定。敷地内には15棟のデータセンターを建てるだけでなく、最大1000MWの電力を供給できる超高圧変電所(東電パワーグリッドが運営予定)も誘致する力の入れようだ。

 戸建て住宅やマンション、商業・産業用施設など、不動産の建設や運用を幅広く手掛ける大和ハウス工業だが、データセンターに手を広げるのは初めて。業界的には、データセンターの建設案件は珍しくはないが、鹿島建設や大成建設、清水建設などのゼネコン大手が請け負うことが多いという。

 その中で大和ハウス工業がこの事業に本格参入するのはなぜか。

photo 巨大データセンターの完成予想図

データセンターを貸し出し、クラウドベンダーから“家賃”を得る

 「建設自体はコロナ禍の前から計画していたが、テレワークの普及でクラウドサービスの利用が急増し、提供元のベンダーでデータセンターを拡張する需要が高まってきた。そこで、当社のデータセンターにハードウェアを置いてもらうことで“家賃”を得るビジネスを始めたい」

 取材に対してこんな狙いを明かしたのは、大和ハウス工業の更科雅俊氏(東京本店 建築事業部 事業部長)だ。

photo 大和ハウス工業の更科雅俊氏(東京本店 建築事業部 事業部長)

 コロナ禍以前は、クラウドベンダーなどがゼネコンなどにデータセンターの建設を依頼し、完成後は自社物件として所有するケースが多かった。だが現在は、テレワークの普及でクラウドサービスの利用が急増。既存のデータセンターではリソースが足りなくなり、コストを抑えてデータセンターを間借りする需要が高まると更科氏はみている。

 その見立て通り、建設中のデータセンター15棟のうち7棟は、オーストラリアのデータセンター事業者・Airtrunkの入居が決定。7棟の建設は、大和ハウス工業とAirtrunkの共同出資会社が担当し、竣工後にAirtrunkに貸し出す形になることも決まっている。

 残る8棟に入居する事業者は未定だが、更科氏は「さまざまな企業と話していきたい」とし、日本マイクロソフトやアマゾンウェブサービスジャパンといった大企業への貸し出しも候補に入ってくると意気込んだ。住宅事業で培ったノウハウを生かし、データセンターの提供形態も拡充する方針で、「賃貸だけでなく、分譲や建て売りにも手を広げたい」という。

photo データセンターの図面。総延べ床面積は東京ドーム約7個分に相当する

物流センター事業のノウハウ生かす

 ただし、大和ハウス工業はサーバやラックは用意せず、運用管理も行わない。これらはあくまで、入居するクラウドベンダーやデータセンター企業の役割だ。大和ハウス工業は「地盤が強固な土地、免振構造を採用した堅牢な建物、そしてデータセンターで働く人たちへの支援を提供することで、施設の付加価値を高める」(更科氏)という。

 「堅牢な建物の開発やサービス提供においては、物流センター事業のノウハウも生かせる」と同氏は自信をのぞかせる。

photo データセンターの立地

 と言うのも、大和ハウス工業は昨今、ネット通販の普及を受けて物流拠点の建設に注力。全国の270カ所に、総敷地面積が約947万平方メートルの物流センターを配備し、物流事業者などに貸し出している。入居する企業には、アマゾンジャパンなどの大手も含まれる。

 物流施設の運用は物流事業者に任せているが、大和ハウス工業は各社のニーズに基づき、(1)オフィススペースやカフェテリアを設ける、(2)通勤用のバスを停めるエリアを用意する、(3)パート従業員を雇いやすいように託児所を造る、(4)全館に空調を配備する――といったサポートを行っている。

 大和ハウス工業はこうしたサポートをデータセンターでも提供する計画だ。データセンターの管理には、サーバの熱負荷に対応するために厳密な温度調節が必要だ。運用管理の担当者は、交代制で昼夜問わず勤務し、障害が起きた場合は休日でも駆け付ける必要がある。そんな中でも、顧客企業の従業員が快適に働けるように工夫する方針だ。

足元の業績は悪化、データセンターは活路となるか

 大和ハウス工業がデータセンターという新規事業にチャンスを見いだしている反面、既存事業は苦しい状況だ。同社が11月11日に発表した21年3月期上半期(20年4〜9月)の連結業績は、売上高が前年同期比9.8%減の1兆9664億円、営業利益が同25.5%減の1560億円、最終利益が同38.0%減の913億円。通期予想では、最終利益が同44.4%減の1300億円を見込んでいる。

photo 大和ハウス工業の決算(2021年3月期第2四半期累計)

 テレワーク普及の影響で、足元では広い家への住み替え需要が高まっているが、いつまで続くかは不透明。オフィス事業も厳しく、ホテルの建設は止まっているのが現状だ。苦境を打破し、データセンターの賃貸事業を予定より早く始められるよう、今後は完成の前倒しを目指して工事を進めるという。

 「当社の強みは多様な事業をやっていること。住宅の調子が悪ければビジネス(セグメント)でカバーできる。全部の業績がそろい踏みすることはなかなかないが、(トータルでは)もっと伸ばせる」と更科氏。想定する売り上げや利益は現時点では明かせないというが、日本トップクラスの面積を生かしたデータセンターは未来の業績の柱になるか。

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November 12, 2020 at 07:30PM
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