不動産を購入する際には数千万円単位のお金がかかる場合が多く、現金一括で用意できる方は少ないため、住宅ローンを利用するのが一般的です。しかし、土地だけを購入する場合にも住宅ローンを利用できるのか、疑問に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、土地だけの購入を希望する際に、どんな方法でローンを組むことができるのか、土地購入の流れや注意点も併せて詳しくご紹介します。
土地だけの購入に住宅ローンは利用できるのか
結論を申し上げますと、土地だけを購入するときには、住宅ローンを利用することはできません。住宅ローンは居住用の家を建築するときに限り利用できるローンであるため、土地だけを購入する場合には融資の対象外となってしまうのです。
そのため、土地を購入する目的が居住用物件を建設するためなのであれば、土地と建物を一本化することにより、住宅ローンを組むことは可能です。ただし、住宅ローンの融資は建物が完成した後に行われるため、土地だけを先に購入する場合には、一時的に自己資金で賄わなければなりません。
もしも自己資金を用意できない場合には、次の項目で紹介する「つなぎ融資」を利用して融資を受けることができます。
土地購入時に利用できる融資
つなぎ融資とはどのようなものなのでしょうか。その他の融資方法も含めて、土地購入時に利用できる融資の種類について解説していきます。
つなぎ融資
住宅ローンは建物が完成するまで融資が実行されない制度であるため、完成までの間は自己資金を使って土地や建物を購入しなければなりません。しかし、必要な金額を用意できないという場合には、住宅ローンが融資されるまでの一時的な融資である「つなぎ融資」を検討してみるとよいでしょう。
つなぎ融資で借り入れたお金は、住宅ローンを使って清算するため、文字どおり住宅ローンを組むまでの「つなぎ」として活用できます。ここで定められる借入額は購入しようとする土地の評価額を基に決定することになりますが、評価基準については「土地の評価基準」の項で詳しくご紹介します。
土地先行融資
こちらは土地のみに対して融資を受けられる制度ですが、住宅が完成した場合には、その分の融資も追加で受けることができます。
ここで問題となるのが、住宅が完成した後になって建物の審査が通らないという事態に直面する可能性があることです。これに備えるため、土地購入時に土地に関する資料と、新築予定の建物の資料を提出し、合計額を一度に審査することになります。
こちらの借入額も評価額を基に決定されるため、詳細については次の項目で詳しくご確認ください。
土地の評価基準
融資を受けるためには、その土地にどの程度の価値があるのかという点を、公正に評価しなければなりません。
つなぎ融資も土地先行融資も、土地の価値を算出したうえで、それに見合った額の融資が行われます。土地の評価基準には主に4つの種類があるので、それぞれ説明していきます。
公示地価
地価公示法に基づいて評価された基準数値のことを公示地価と呼んでおり、国土交通省によって年に一度更新されています。公示地価を算出しているのは不動産鑑定士であるため、根拠のある評価額と見なされます。
ただし、評価の対象となる土地は都市計画区域内に限られるため、すべての土地で活用できるデータではありません。
基準地価
国土利用計画法施行令にのっとり、土地を評価して算出する基準数値のことを、基準地価と呼んでいます。こちらは国の管轄ではなく、各都道府県の管轄となるため、各地方自治体によって毎年1回公表される地価になります。
工業地や商業地のような、公示地価では算出できない地域の地価を算出できるので、住宅ローンの審査においても活用されることが多いものです。
路線価
市街地にある道路に面する宅地を基準とし、1m2あたりの評価額を算出する基準数値のことを路線価と呼んでいます。これは国税庁によって毎年1回発表される数値であり、固定資産税などを算出する際に用いる固定資産税路線価と、相続税などを算出する際に用いる相続税路線価があります。
路線価は公示価格よりも安く計算される場合が多く、一般的には公示地価の8割程度に収まることが普通です。
固定資産税評価額
土地などを取得した場合には固定資産税がかかりますが、これを計算するために用いられるのが固定資産税評価額です。こちらは国と地方自治体によって定められる評価基準ですが、そのほかの評価基準と異なり、3年に一度のペースで更新される特徴をもった価格です。
こちらは路線価よりも安く評価されることが普通で、公示地価の7割程度で評価されます。
土地購入の流れ
土地購入の流れは3段階に分かれます。
買付証明書の提出
購入したい土地を発見できた場合、不動産会社に対して購入希望の旨を伝えるために、最初に買付証明書の提出を行います。証明書という名前がついていますが、これは正式な契約ではないため、後で購入を取りやめたとしてもペナルティを受けることはありません。
住宅ローンの事前審査
住宅ローンを利用する場合には、まず金融機関に対して事前審査を申し込み、融資額がいくらになるのかを確認します。この際には建築する建物の図面と見積書を提示することが求められ、事前審査に通過した場合には、本審査においても同様の金額の融資が決定されます。
売買契約
不動産会社等で重要事項説明を受けて、正式な売買契約へと移ります。この場で提示される契約書に対してサインと捺印を行い、はじめて契約が成立することになります。
土地を先に買う際の注意点
最後に、建物に先立って土地を購入する際に注意しておくべきことを2つのポイントに分けて解説します。土地を購入する際には、最後まで油断せずに、諸条件を確認したうえで契約を交わすことが重要です。
購入する土地の土地情報を理解しておく
全国各地から膨大な量の土地を探す際、インターネットは非常に便利ですが、売買に関するページ以外からも土地情報を収集しておきましょう。建築に適していない土地だったり、建設前に掃除や整備が必要な土地だったりする場合には、高額な整備費が必要になるケースもあります。
また、その土地だけを見るのではなく、地域全体の情報にも目を配り、利用目的に適した地域かどうかのチェックも欠かさないようにしましょう。土地そのものの条件は良かったとしても、近隣でトラブルが起きていたり、生活環境があまりよくない場合もあります。
土地を管理する不動産会社と直接コミュニケーションを取り、可能であれば現地まで足を運ぶなどして土地情報を理解してから購入を検討しましょう。
通常のローンに比べると金利が高い傾向がある
土地に対するローンである「つなぎ融資」と「土地先行融資」は、通常の住宅ローンと比較して金利が高額になるというデメリットがあります。住宅ローンの金利は0.5%前後ですが、つなぎ融資や土地先行融資の金利は数％程度にまで上昇する傾向にあるのです。
長い目で見ると、トータルの返済額が通常の住宅ローンに比べて大きな差を生じることもありますから、しっかりと計算したうえでローンの利用を検討しましょう。
まとめ
土地だけの購入に通常の住宅ローンを利用することはできませんが、その代わりにつなぎ融資や土地先行融資という形で資金の融資を受けることができます。融資額の決定には公示地価をはじめとする4種類の評価基準が用いられることになり、買付証明書の提示やローンの事前審査、売買契約という3ステップで購入が完了します。
土地と建物を一本化して住宅ローンを借り入れるか、つなぎ融資や土地先行融資を活用するか、メリットやデメリットを頭に入れたうえで判断するようにしましょう。
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May 07, 2020 at 01:29AM
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