国土交通省は2020年秋までに、自動車メーカーの「完成検査」の手順などを変更する際、従来義務付けていた国への届け出を不要にする。検査の順序を記した図面の変更など品質への影響が少ない書面が対象で、国への届け出件数は約4割減る見通し。自動車メーカーの負担を軽減するとともに、品質管理の合理化によって検査員の人手不足にも対応する狙いだ。
自動車は大量生産の前に、サンプル車両や品質管理体制の審査を経て国から型式指定を受ける。出荷前の車両のブレーキやハンドルなどが国の保安基準に該当しているかを確かめる完成検査は、国に代わって自動車メーカーが実施している。メーカーが品質管理体制に関する書面を変更する際は国に届け出る必要がある。
国交省の省令である自動車型式指定規則に基づく申請・届け出件数は18年度に計1317件。そのうち「書面変更の届け出」は最多の48%を占めた。日本は同様の制度を持つ欧州と比べて届け出の対象となる変更事項が多く、自動車メーカーの負担となっていた。
国交省は秋までに省令を改正したい考えで、品質に直接的な影響が少ないと判断した(1)出荷前検査の順序を記した図面(2)検査結果を記録するチェックシート(3)検査用の機械器具の一覧表――などの変更の届け出を不要にする。これらの項目については、変更する際の管理手順を事前に定めておくことを自動車メーカーに義務付ける方針だ。
完成検査を巡っては、17年に自動車メーカーでの不正が相次いで発覚した。国交省は無通告の立ち入り検査を導入するなど、監査を強化してきたが、人手不足で検査員の確保が難しくなっていることから、品質管理の改善や合理化も進める方針。今回の届け出の見直しもその一環にあたる。
今後は人工知能（AI）などを活用し、検査員の目視に頼ってきた工程の自動化も進める。外部有識者を交えた検討会では自動化を導入する際のガイドラインを作成中で、20年度に経済産業省などと連携してメーカーの生産ラインを活用した実証実験も始める予定だ。
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May 24, 2020 at 01:51AM
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自動車完成検査、書面の届け出簡素化 国交省 - 日本経済新聞
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