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Tuesday, March 24, 2020

長期化した希少なポルシェのレストアが完成するまでの工程は? - マイナビニュース

長期化した希少なポルシェのレストアが完成するまでの工程は?

この記事は『RSであることを示す特徴が完璧な状態で保存されていたポルシェを甦らせる!』の続きです。

インナーフェンダーを取り外してみると、ダメージが奥のペダルボックスにまで達し、変形やひびが生じていることが明らかになった。また、縦通材には錆も見られた。これらはすべて純正のパネルと交換した。フロアも新しいものを取り付けた。ボロボロの古いフロアを満足のいく状態に直すのはとうてい不可能だったからだ。インナーシルとアウターシルは、Bピラー下の"キドニー・ボウル"とジャッキポイントごと、純粋に強度を増すために交換した。

外から見えない場所は溶接を足して補強し、見える場所はファクトリーの溶接を模倣した。元々あったシャシーの補強箇所も補修して改善した。フロントのアンチロールバーには補強プレートを取り付け、最後にボディシェルの目に触れない場所をさらに補強した。
 
こうした作業はすべてクルマを修正機に載せて行ったので、どんなボディショップにとっても大変な仕事量だった。私が選んだのは、イギリスでも屈指のレストアラーであるエセックスのスポーツワーゲンだ。911より356のレストアに精通した会社なので、オーナーのブルース・クーパーにとっては学習期間となった。私の細部への執拗なこだわりはブルースを悩ませたに違いない。彼の忍耐と技術は尊敬に値する。また、サプライヤーと良好な関係を築くことの重要性も教えてくれた。以来、多くの911が彼のワークショップから巣立っているが、もっと増えて然るべきだ。
 
その間に、友人のバリー・バーンズがメカニカルパーツの分解とリビルドにあたった。エンジンは私が以前から所有していたRSエンジンだ。そのクランクケースはナンバー入りの純正品だったが、私はこれをスイスの顧客に売り、その売り上げを元手に、ファクトリーに2個だけ残っていた新品のクランクケースを購入した。33年前のマグネシウム製ケース、特に競技で使用されたものは、疲労や摩耗が大幅に進んでいる可能性があるからだ。

新品のケースにはオリジナルのエンジンナンバーが刻印され、プーリーやコンロッド、クランクシャフト、特殊なアルミニウム製の2.8RSRクラッチ、1kgと軽量のフライホイールなど、エンジンパーツはバランス取りを行ってから組み上げられた。ギアボックスも私が持っていたものだ。特別なクロスレシオで、おそらくラリーで使われたものだろう。このモデル唯一のオプションであるリミテッドスリップディファレンシャルも、新しいプレートでリビルドして搭載した。
 
後期のシャシーナンバーであることから、1973年6月に製造されたこのRSのボディシェルには、通常の生産ラインで小さいながらも重要なモディファイが加えられたと考えられる。そうした後期のボディシェルは、水性のアンダーコートが施されたために重量がかなり増加した。そこで、これは除去して、アンダーボディ用コートとペイントを混合した塗料でシャシーを仕上げた。こうして重量をセーブしながら現代的な保護膜が手に入った。
 
計器類も修繕した。速度計は250km/hまでだったが、1973年3月以降は最高300km/hに変わったので、正しいものに交換した。時計が入るスロットをふさぐブランクプレートは新品を持っていたのでそれを使った。
 
ポルシェはRSの外観を特徴付けるパーツを使い果たしたため、後期のRSは既存のパーツで間に合わせた。例えば固定式だったクォーターウィンドウは1973年6月から開閉式に変わった。また、リアバンパーはグラスファイバー製だったが、ホモロゲーション取得に必要な数に達した1973年4月以降は、クロームのオーバーライダーが付いたスチール製に変わった。私は非常に希少なグラスファイバー製リアバンパーの新古品を既に所有していたので、それと交換した。レース中に暑くなりがちな車内の換気がいっそう制限されるため、固定式のクォーターガラスは開閉式に交換されることが多く、アクリルのルーバーに変更する例もあった。私はオリジナルの開閉式をそのまま残した。3月2日以降に付けられるようになったCan-Amのステッカーが右の窓に残っていたからだ。 

私はこのRSでヒストリックイベントに出走するつもりだった。2000年には911T/Rでフランスのクラシックカーラリー、ツール・オートに出走し、クラス4位でフィニッシュしたので、その再挑戦を考えていたのだ。ところが不測の事態でレストアが長期化し、この計画にも影響が出た。また、新たに別のプロジェクトが持ち上がっていた。そんなとき、このクルマを譲ってほしいと繰り返し請われたので、その気前のいい提示額を飲むことにした。
 
RSを購入したのは写真家のデビッド・バージェスだ。デビッドはクルマをすべてガルフブルーにペイントすることを希望した。私は、まずオリジナルのライトアイボリーで塗装してから、スポンサーカラーとして重ねたほうがいいと説得した。そうすれば将来、オリジナルの塗色に戻すことも容易だからだ。


 
レストアは最終段階に入っていたが、デビッドの要望でいくつか変更を加えることになり、完成はさらに先に延びた。皮肉にも、変更を施す間にデビッドの生活に大きな変化が起きたため、最終的に彼はクルマの売却を決めた。デビッドの希望で、特別なシートやステアリングなど、彼の要望で変更した箇所はすべて元に戻された。こうしてついに2006年4月にクルマは完成した。その後、オリジナルの素材でレストアされて戻ってきた純正のRS用軽量シートを装着すると、車内は輝くばかりの仕上がりとなった。

いよいよ公の場に・・・次回へ続く

本記事は「ClassicPORSCHE」から提供を受けております。著作権は提供各社に帰属します。

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March 23, 2020 at 11:11PM
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