『都会の異界東京23区の島に暮らす』高橋弘樹著(産業編集センター・1650円)
「都会にいながら、田舎にすみたい」「人付き合いが苦手なのに、人がいないと寂しい。仕事が忙しいが、家庭も大切にしたい。(中略)『東京の島に住むか』」
島への関心の発端についてこう書く著者は、東京23区内にある島を訪ね歩き、ついに3年前からある島に住み着く。今でも漁師の町で銀座から4分、その名は「佃島」。
23区内にはこの佃島をはじめ10以上の島があるという。添えられた地図を見ると、そのほとんどは当然のように海沿いにある。なかには東京・北区と埼玉の境界、荒川に浮かぶ中洲の島「中之島」もある。昔からの自然の島、埋め立てられ人工的につくられた島…「城南島」「昭和島」「妙見島」などなど。
本書は自らが住む「佃島」の日常の風景をはじめ、著者が「異界」と呼ぶこれらの島々への探訪記であり、「『異界』巡りは、『幸せとは何か?』を教えてくれる巡礼の旅」なのである。
東京に住んでいながら、自らの住む土地に対する歴史、知識などに関心を持たない人が少なくない。それだけに「東京を訪れたら、ぜひ訪れて欲しい。住んでいたら、即行って欲しい」と著者。
本文中の豊富な写真は、テレビ東京のディレクターでもあり、取材時には自らカメラも回す著者の眼を通した思いや、島に流れるゆっくりとした時間をも伝えてくれる。
船だまりでのんびりと釣り糸をたれるおじさん、運河にかかった小さな赤い橋の向こうに見えるのは、林立するまがまがしいほど巨大なタワーマンション群、あるいは疾走するモノレール、低空をかすめる飛行機…。
ひょっとすると、私たちの住む「都会」こそ「異界」ではないのかと思わせる。
『増補改訂 凹凸を楽しむ 東京「スリバチ」地形散歩』皆川典久著(宝島社・1980円)
「東京スリバチ学会」の会長を務める著者は、NHKの人気番組「ブラタモリ」にもかかわっている。東京の城西地区、山の手は「坂の町」であるとともに「谷の町」であり、「すべての坂は谷(スリバチ)に通ず」。
エリア3D地形図を駆使して東京のスリバチ地形、高低差を探索していく。「スリバチ」を知れば見慣れた町が新しく見えてくる。
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てらだ・みのり 昭和17年、東京都生まれ。映画、ドラマなど多数出演。元東海大学文芸創作学科教授。現在、板橋区立美術館運営協議会会長。
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