
調味料は複数を組み合わせることが多いが、忙しくて面倒だという声も大きくなってきた。一つの調味料で料理が完成する「おかず調味料」などと呼ばれる商品が広がり、電子レンジだけで完結する新商品も登場している。
東京都の会社員、田原宏美さん(43)は、料理が大好き。ところがコロナ禍で自身も夫も在宅勤務が増え、食事作りに悩むようになった。いくら料理が好きでも、毎日3食を丁寧に作っていられない。そんな時、味はそれほど期待せずに使ったおかず調味料に驚いた。「手間をかけた料理とは比較にならない、と思っていたのに。夫も『おいしい』と喜んでいて、ちょっと悔しかったくらい」
田原さんが使ったのは、キッコーマン食品(東京)の「うちのごはん 肉おかずの
「うちのごはん」シリーズは、調味料を食材と混ぜたり、フライパンでいためたりするだけの短時間調理が人気だ。今年2月、電子レンジで加熱するだけの「肉おかずの素」2種を発売したところ反響が大きく、8月にはさらに新商品2種を投入する。同社は「コロナ禍で昨春は手作り需要が高まったが、最近は時短や簡便さを求める動きも出てきた」とみる。
おかず調味料のほかにも、「1種類だけで味が決まる」調味料は人気だ。ミツカン(愛知)の「カンタン酢」は、甘味や塩分、だしのうま味などを配合した調味酢。焼いた肉や魚を煮詰めれば甘酢照り焼きになる。ヤマキ(愛媛)の「めんつゆ」も、1本で煮物や親子丼の味つけが決まると好評だという。
おいしさと手軽さに加え、新たなニーズとされるのが災害備蓄だ。マルコメ(長野)の「
東京ガス都市生活研究所が1990年から3年ごとに行っている生活定点観測調査によると、平日の夕食を毎日家で食べる人は90年から2017年まで6割弱で推移していたが、20年は69%とこれまでより約10ポイントも増加。毎日夕食を作る人はしばらく減少傾向だったのが、20年は増加に転じた。同研究所の木村康代さんは「20年は数値が大きく動き、コロナ禍で生活様式が変わったことがうかがえる結果となった」と指摘する。
一方、「夕食を作る時間が30分未満」という人は、1993年は5%だったのが、2020年は17%と3倍以上に。「調理の手間はかけない」という人も、20年は7割を超えた。木村さんは「料理を手作りしつつも、時間や手間を省く傾向がみられる。時短や省力化の流れは今後も続く」とみる。「簡便な調味料や、下ごしらえ済みのミールキットなども活用されるようになった。これらを使いこなしながら、時短の食事と手間をかけた食事を両立させるライフスタイルが広がっていくのではないでしょうか」
(福士由佳子が担当しました)
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