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Friday, June 18, 2021

中国でここまで進んでいる「ブロックチェーンECセール」とは何か - ITmedia

 中国のECセール日の6月18日。この日はECサイト大手の「京東」(JD、ジンドン)の創立記念日のセール日「618」だったが、ライバルのアリババ(阿里巴巴)のECサイトの天猫(Tmall)や淘宝(Taobao)らも参入して、11月11日の双11(ダブルイレブン)に続くセール日となっている。

 毎年「双11」「618」に合わせ、天猫や京東が新しい仕掛けを行っている。このセールに合わせてアリババが仕掛けたうちの一つが、ブロックチェーンを活用したIP(知的財産権)を活用したデザイナーズモデルの販売だ。例えば靴下のデザイナーズブランド「Primeet」は、中国の伝統的な文様を入れたデザインの靴下を販売。6月12日にはライブコマースで圧倒的な販売実績を誇る若き男性「李佳」(リー・ジャーチー)がライブ実況で売り、4万足が数秒で売れた。

photo 中国の伝統的デザインを組み込んだ靴下
photo 伝統的デザインの靴下を最新のライブコマースで販売

 この伝統的な文様は、Primeetオリジナルのデザインではなく、既にあるデザインを利用したものだ。

ブロックチェーンを活用し、デザインを開放

 5月17日、「アントチェーン」は「文昌星伝統文化換新計画」という計画を発表した。アントチェーンは、アリババ系のアリペイ(支付宝)をリリースする企業「アントグループ」のブロックチェーン部門。この計画はブロックチェーンを活用したもので、1000の中国の伝統的な文様やコンテンツを天猫の「IPMart」で無料でデザイナーに開放し、各ショップはそれを任意で使って商品化できるようになる。これを靴下ショップのPrimeetは活用したわけだ。

photo アリババグループのブロックチェーン部門、アントチェーン

 このアントチェーンの文昌星伝統文化換新計画を実現した天猫のIPMartは、中国では「IPのニューリテール」と報じられている。ブロックチェーンを活用して気に入ったデザインの利用権利を高額で購入するのではなく、売れた数だけ版権利用代を支払うということが実現できるプラットフォームだ。

photo IPMart

 例えば気に入ったデザインを見つけたとして、そのデザインを活用したバッグなり服なりを販売すると、売れた分だけリアルタイムで版権保有者に支払われる。IPmartは3月にスタートし、そこから2カ月で150のIP所有者が参加した。そのうち7割が中国とあるので、海外からの参加も少なからずあるのだろう。天猫は将来、中国から500以上のIPを育てたいとしている。

 現在中国らしいデザインやメイドインチャイナの製品が若者に受けている「国潮ブーム」があり、中国らしさを押し出したデザインの製品ばかりが続々と登場している。

 加えてライブコマース人気の掛け算もあいまって、中国の愛国心を鼓舞する伝統的デザインが飛ぶように売れる。販売店はアントチェーンのデザインをIP利用の手間を掛けず利用でき、魅力的な製品を必要な数だけ製造して販売することができる。

 天猫は消費者と販売店を呼び込み、他のECサイトと差別化することができ優位に立てる。ブロックチェーンを活用したIP販売は、消費者、店舗、プラットフォームそれぞれにメリットをもたらしたわけだ。

ブロックチェーンとAIで版権保護プラットフォームも展開

 先んじてアントチェーンは、「チャオザオ」という、ブロックチェーンとAIテクノロジーを活用したデジタル版権保護プラットフォームを展開している。カササギが穴をあけるという意味らしい。オリジナル作品の制作や配信や権利保護や収益保証を行うサービスだ。

 このチャオザオ登場の背景には画像の盗用があった。多数のショップが他のサイトの商品写真を無断で拝借していたり、デザインを拝借する状況が続いていた。それまでもデザインの盗用に対して抗議することはできるにはできたが、証拠集めなど人手がかかり、これまで1枚の画像について800元、版権を確認するまでに30日かかった。それがブロックチェーンによるチャオザオ導入で自動化され、金銭的時間的コストの大幅カットが実現できたわけだ。

 2021年4月にアップデートされた最新版のチャオザオによれば、版権登記費用は1元で、海外進出もサポートしたそうだ。またサービス利用者は100万人を突破し、5000万を超える作品が登録され保護されているという。今後はYouTubeやFacebookやInstagramやSoundCloudと提携する阜博集団と提携し、中国発の正規版コンテンツの販売を海外に展開していくという。今後ゲームやアニメのように中国デザインを海外で日本でじわじわと見ることになりそうだ。

photo ブロックチェーンとAIで画像の著作権を管理
  • アントチェーンのブロックチェーンの導入事例と取り組み
2016年7月 アリペイを通して行う募金にブロックチェーンを活用し、各募金の行き先を追跡
2016年10月 世界初のブロックチェーンを導入したメールサービスをリリース
2017年3月 ソフトウェア企業「普華永道」と提携し、ブロックチェーンを利用して輸入商品のサプライチェーンを透明化
2017年8月 健康関連製品を扱うアリババの「阿里健康」と江蘇省常州市が「医療+ブロックチェーン」のモデルプロジェクトで協力
2017年11月 アリババの越境EC「天猫国際」で扱う粉ミルクをはじめとした商品をブロックチェーンで追跡できるように
2018年6月 香港のAlipayHKとフィリピンの電子マネーGCashとの送金のやりとりにブロックチェーンを適用
2018年9月 復旦大学附属華山医院が電子処方箋にブロックチェーンを活用
2018年9月 杭州のインターネット裁判所にブロックチェーンを導入。後に北京などでのインターネット裁判所でも導入

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